【漢方薬剤師が解説】腎性頭痛に効果的な漢方薬ヘッドスパ

私は漢方薬剤師であり、美容師としても銀座で20年間活動してきました。その間、健康に関するご相談を数多くいただき、漢方薬ヘッドスパを用いて解決してきました。

漢方薬ヘッドスパは、漢方薬とメディカルアロマを使用するヘッドスパです。漢方薬剤師がお話を伺い、お悩みの症状に合わせた漢方薬と精油を選んでヘッドスパを行います。漢方薬ヘッドスパのコンセプトは、自然治癒力を高めて体調不良を改善することです。

髪に対しても「自然治癒力を高める」というコンセプトは同じで、髪が持っている本来の力を引き出すことにより、リンスやトリートメント類を一切使用せず、サラッと軽い仕上がりを実現します。髪の表面に付着させるものとは違い、高い効果が持続します。

漢方薬は、いくつかの生薬を組み合わせて作られる薬です。例えば、「六君子湯（りっくんしとう）」という漢方薬は、人参（にんじん）、白朮（びゃくじゅつ）、茯苓（ぶくりょう）、半夏（はんげ）、陳皮（ちんぴ）、大棗（たいそう）、甘草（かんぞう）、生姜（しょうきょう）といった8つの生薬からできています。

それぞれの生薬には役割があり、お互いの特徴を活かしながら効果を高め合う構成になっています。漢方薬の目的は、体全体のバランスを整え、身体が元々持っている「自然治癒力」を高めて体調不良を改善することです。

そのためには、一人ひとりの体質や体調に合わせて処方する必要があります。これが「漢方薬はオーダーメイド治療」と言われる由縁です。

腎はエネルギーを蓄え、水分調整を行なっています。腎性頭痛は、腎のエネルギーが不足することによって生じる頭痛です。

【頭痛】

腎に蓄えられているエネルギーが減少すると、頭に送られる栄養が不足し、頭痛が生じます。腎性頭痛の痛みは強くありませんが、慢性化しやすいという特徴を持ちます。

【耳鳴り】

腎と耳とは関係が深く、腎のエネルギーが不足すると、耳鳴りが生じます。

【手足が冷える】

身体を温める腎のエネルギーが不足すると、手足が冷えるようになります。

【ひざの痛み・腰がだるい・カが入らない】

身体を温める腎のエネルギーが不足すると、ひざや腰を温めることや、栄養を届けることができなくなるため、ひざの痛みを引き起こします。それにしたがって、血液や気の流れも悪くなるため、腰がだるくなったり、力が入らなくなったりします。

基本的に、漢方薬は複数の生薬から成り立っていますが、生薬には似たような働きをするものがあります。ここでは、漢方薬ヘッドスパで使用する類似生薬グループを便宜的にヘッドスパA、ヘッドスパB、ヘッドスパC、・・・と呼ぶことにします。また、漢方で使用される心や肝といった言葉は、西洋医学の心臓や肝臓と必ずしも一致するものではありませんが、正確性よりも読みやすさや分かりやすさを優先し、ここでは心臓、肝臓と表記いたします。

ヘッドスパAの主な効果は、次の2つに分けられます。

①不足した血液を補う効果
②不足した血液や水分を補給し、身体を潤わせる効果

ヘッドスパAは不足した血液を補う効果が高く、この症状に対して漢方薬ヘッドスパでは高頻度で使用します。

ヘッドスパAは、肝臓で血液が不足しているときの次のような症状に効果的です。

・顔色や皮膚につやがない
・頭のふらつき
・目がかすむ
・手足の痺れ（しびれ）感
・筋肉のひきつり
・月経過少

ヘッドスパAは、心臓で血液が不足しているときの次のような症状に効果的です。

・不安感
・焦躁感（しょうそうかん）：あせり、イライラ
・眠りが浅い
・睡眠時に夢を多く見る
・動悸

ヘッドスパAは、肝臓の血液不足が進行し、正常な筋肉の働きや肌の状態を維持できなくなっているときの次のような症状に効果的です。

・かゆみ
・皮膚の萎縮（いしゅく）
・あかぎれ
・落屑（らくせつ）：皮膚がボロボロと剥（は）がれ落ちる

血液と気の両方が不足しているときには、ヘッドスパAを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

ヘッドスパAは、身体に血液や水分を補給してエネルギーを作り、骨を丈夫にする効果を持っています。そのため、肝（かん）や腎（じん）が水分不足に陥ったときには高頻度で使用します。

ヘッドスパAは、腎（じん）に蓄えられているエネルギーが不足したときの次のような症状に効果的です。

・腰や膝に力がなく、だるく感じる
・記銘力（新しいことを記憶する能力）の減退
・インポテンツ
・遺精（夢精）
・不妊

腎の水分不足で生じる次のような症状には、ヘッドスパAに熱冷まし効果の高い生薬を加えて漢方薬ヘッドスパを行います。

・のぼせ
・ほてり
・身体の熱感
・口の乾き
・喉（のど）の乾燥

ヘッドスパAは、腎の熱エネルギーと水分が不足したときの次のような症状に効果的です。

・寒気を感じる
・手足が冷える

ヘッドスパAは、肝と腎で水分が不足したときの次のような症状に効果的です。

・頭のふらつき
・目のかすみ
・耳鳴り
・筋肉のけいれん

ヘッドスパAは、心と腎で水分が不足したときの次のような症状に効果的です。

・眠りが浅い
・睡眠時に夢を多く見る
・動悸
・不安感

ヘッドスパAは、肺と腎で水分が不足したときの次のような症状に効果的です。

・乾いた咳
・息を吸うときの呼吸困難
・少量の痰

気と水分の両方が不足しているときにはヘッドスパAを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

ヘッドスパBの主な効果は、次の2つに分けられます。

①体内の余分な水分を取り除き、水分代謝機能を回復させる効果・熱を冷ます効果
②腎で生じた熱症状を取り除く効果

ヘッドスパBは、水分代謝機能を高め、身体にこもった熱を冷まします。身体に必要以上の水分が溜まっているときには、利尿機能を高めて水分を体外へ排泄する効果があります。

ヘッドスパBは、組織間や消化管内の余分な水分を血液中に吸収し、利尿作用によって除去する効果を持っています。また、泥状〜水様便を改善する効果、むくみを解消する効果もあります。

ヘッドスパBは、熱冷まし効果によって軽度の炎症を抑えることにより、膀胱に熱がこもり、水分代謝バランスが乱れているときの次のような症状に効果的です。

・排尿痛
・排尿困難
・残尿感
・尿の混濁

慢性的に膀胱に熱がこもって水分不足が続くときには、ヘッドスパBを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

ヘッドスパBは、大腸に熱がこもり、水分代謝バランスが乱れているときの次のような症状に効果的です。

・下痢
・腹痛
・テネスムス：便意はあっても便が出ない

ヘッドスパBは、消化器に熱がこもり、水分代謝バランスが乱れているときの次のような症状に効果的です。

・吐き気
・口の中に粘り気を感じる
・いつも、お腹が張っている感じがする
・むくみ
・下痢

ヘッドスパBは、過剰な水分と熱が発生し、気の流れが悪くなったときの次のような症状に効果的です。

・発熱
・頭が重い
・身体が重い
・吐き気
・いつも、お腹が張っている感じがする
・下痢

身体の潤いが不足し、みぞおち付近で熱と冷えが結びつき、つかえが生じて張っているときの次のような症状には、ヘッドスパBを使用する漢方薬ヘッドスパが効果的です。

・尿の色が濃い
・血尿
・下痢
・ロが渇く
・水分を欲する
・発熱
・熱感

ヘッドスパBは、身体に余分な水分が蓄積しているときに不要な水分を取り除き、水分代謝機能を回復させる効果を持っています。また、高熱を冷ます効果も併せ持ちます。

ヘッドスパBは、身体に必要以上の水分が溜まっているときの次のような症状に効果的です。

・むくみ
・泥状～水様便
・尿量が少ない
・ロの中が渇く

ヘッドスパBは、余分な水分が溜まることによって消化器の蠕動運動がうまく働かなくなったときに生じる次のような症状に効果的です。

・吐き気
・嘔吐
・いつも、お腹が張っている感じがする
・むくみ
・泥状～水様の便

みぞおちに余分な水分が溜まることによって生じるめまいには、ヘッドスパBを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

ヘッドスパBは、不要な水分が頭まで上昇することによって生じる次のような症状に効果的です。

・めまい
・吐き気
・嘔吐

血液が余分な水分で薄められ、身体に必要な栄養分が不足しているときには、血液を補う生薬とヘッドスパBを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

身体を温めたり動かしたりする腎のエネルギーが不足し、余分な水分が身体に蓄積したときには、水分排泄機能を持つヘッドスパBを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

ヘッドスパBには腎で生じた熱症状を取り除く効果があります。そのため、腎の水分や血液の不足、それに伴う強い熱による次のような症状に効果的です。

・腰や膝（ひざ）がだるくて力が入らない
・身体に熱を感じる
・手の平や足の裏がほてる
・口が乾く
・寝汗をかく

ヘッドスパCの主な効果は、次の3つに分けられます。

①身体を温めて発汗を促し、病気を引き起こす原因である冷えと風邪（ふうじゃ）を体表から発散させる効果
②身体を温めたり活力を与えたりするエネルギーの流れを改善する効果
③冷えを解消し、痛みを止める効果

ヘッドスパCには、体表の血管を拡張して発汗を促し、口・鼻・皮毛から体表部に侵入した病邪（病気を引き起こす原因）を身体から追い払う効果があります。そのため、体表の冷えによる悪寒、頭痛、発熱、身体の痛みなどの症状があるときに使用します。

病邪によって悪寒が生じ、汗をかいていないときには、発汗作用を持つ生薬とヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

病邪によって次のような症状が現れたときには、発汗作用を持つ生薬、熱を冷ます作用を持つ生薬とヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。
・口や喉（のど）が激しく乾く
・喉（のど）の痛み
・胸中の熱と不安により手足を固定しておけない状態

病邪によって次のような症状が現れたときには、身体を温める生薬、血液と気を補って血流を改善する生薬、発汗作用を持つ生薬、身体を温めて風邪（ふうじゃ）を発散させる生薬、全身の気を補う生薬とヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。
・腹痛
・お腹の冷え
・下痢

体表での防御機能が低下し、風に当たるとゾクゾクと嫌な感じがする時、日中にしきりに汗が出る時には、体表を温める生薬、肝臓の血液を補う生薬、消化器の気を補う生薬などとヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

ヘッドスパCは、身体を温めたり活力を与えたりするエネルギーの流れを改善する効果を持っています。これは、自律神経系の興奮、血管の拡張、血行の促進などの機能を一時的に促進するためと考えられています。

水分代謝を高めて消化機能を健やかにする生薬、利尿作用を持つ生薬、余分な水分を排泄する生薬、熱を冷まして利尿する生薬、組織間の水分を吸収して利尿する生薬などとともにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパは、次のような症状に効果的です。
・飲食物が胃に滞（とどこお）って、酸性の胃液が喉（のど）に上がってくる
・むくみ
・下痢

発汗作用を持つ生薬、身体を温める生薬、咳や呼吸困難を鎮める生薬、体表を温める生薬などとともにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパは、鼻水や痰の生成を抑えるのに効果的です。

胸中を温めて気のめぐりを改善する生薬などとともにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパは、胸が詰まって痛む症状に効果的です。

食欲を増進させる生薬、全身の気を補う生薬などとともにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパは、脈の結代（けったい：急に脈が飛ぶ症状）・動悸などに効果的です。

肝臓の気の巡りを改善する生薬、血液を補給する生薬などとともにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパは、精神的ストレスの解消に効果的です。

細い血管の血流改善効果を持つ生薬、過剰な熱を帯びた血液を冷ます効果を持つ生薬などとともにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパは、血行を促進して血液の滞りを改善するのに効果的です。

血液を補う生薬、腎のエネルギー不足を補う生薬、消化吸収を高める生薬などとともにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパにより、腎機能を補う効果が高まります。

ヘッドスパCは、血管拡張効果によって血行を促進し、身体を温めて鎮痛効果をもたらします。

ヘッドスパCは、身体の表面や上半身を温める効果に優れています。

ヘッドスパCは、胃が冷えたときの上腹部の痛みや膨満感に対して効果的に作用します。

月経と関係が深い経絡といわれる衝脈（しょうみゃく）と任脈（にんみゃく）において「身体を温める気」が不足したときに生じる月経痛や無月経には、ヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

寒さや湿気で起きる関節、筋肉、骨などで生じる次のような症状にヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。特に、上半身の痛みに対して効果が高いとされています。
・痺（しび）れ
・痛み
・冷え
・むくみ
・運動障害

熱によって生じる関節の発赤、腫（は）れ、痛みにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

「足は冷えるのに顔はほてる」などのように、冷え症状と熱症状が同時に出現するときにはヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

気が不足することによる血行障害で生じる痺（しび）れなどにヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

今回は頭痛に対する効果についてお話ししましたが、その他にも漢方薬ヘッドスパの効果は多岐にわたります。私たちは、漢方薬ヘッドスパを用いて、身体が元々持っている「自然治癒力」を活かして身体を癒し、皆様が快適な日常生活を送れるようになることを目指しています。ここに、漢方薬ヘッドスパの効果の一例を挙げますので、ご参照ください。

①不足した血液を補う効果
②不足した血液や水分を補給し、身体を潤わせる効果

①体内の余分な水分を取り除き、水分代謝機能を回復させる効果・熱を冷ます効果
②腎で生じた熱症状を取り除く効果

①身体を温めて発汗を促し、病気を引き起こす原因である冷えと風邪（ふうじゃ）を体表から発散させる効果
②身体を温めたり活力を与えたりするエネルギーの流れを改善する効果
③冷えを解消し、痛みを止める効果