【漢方薬剤師が徹底解説】雨頭痛に効果的な漢方薬ヘッドスパの仕組み

ヘッドスパの効果は、髪質の改善や頭皮のケアだけだと思っていませんか?漢方薬ヘッドスパは、漢方薬を用いて髪や頭皮とともに全身の健康を目指すヘッドスパです。
今回のテーマは「雨頭痛」です。普段から頭痛がするわけではないけれど、梅雨の時期や台風が近づいてくると「なぜか頭が痛くなる」という経験をお持ちの方は比較的多いのではないでしょうか?

さまざまな身体の悩みに対応できる漢方薬ヘッドスパですが、今回は主に雨で生じる「雨頭痛」への効果について説明いたします。
この記事により、雨頭痛が発生する理由や漢方薬ヘッドスパが雨頭痛を改善する仕組みをご理解いただけると思います。
ヘッドスパとは「水を使った頭の健康法」

「ヘッドスパ」は、英語の「head」(頭)と「spa」(スパ)を組み合わせた言葉です。「スパ」という言葉は、元々はラテン語の「sanus per aquam」から来ており、「水による健康」を意味しています。
これは、古代ローマ時代において、温泉や湯治場が人々の健康維持に役立つことが知られるようになり、それが広まっていったことに由来します。つまり、ヘッドスパとは「水を使った頭の健康法」ということになります。
漢方薬ヘッドスパとは

漢方薬ヘッドスパは、漢方薬とメディカルアロマを使用するヘッドスパです。漢方薬剤師がお話を伺い、お悩みの症状に合わせた漢方薬と精油を選んでヘッドスパを行います。漢方薬ヘッドスパのコンセプトは、自然治癒力を高めて体調不良を改善することです。
髪に対しても同様の考え方で、髪が持っている力を引き出すことにより、リンスやトリートメント類を一切使用せず、サラッと軽い仕上がりを実現します。表面に付着させるものとは違い、高い効果が持続します。
漢方薬はオーダーメイド治療

漢方薬は、いくつかの生薬を組み合わせて作られる薬です。例えば、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」という漢方薬は、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)といった6つの生薬で構成されています。
漢方薬の目的は、体全体のバランスを整え、身体が元々持っている「自然治癒力」を高めて体調不良を改善することです。そのためには、一人ひとりの体質や体調に合わせて処方する必要があります。これが「漢方薬はオーダーメイド治療」と言われる由縁です。
漢方薬ヘッドスパでは、漢方薬剤師がお客様ひとりひとりの悩みに応じて適切な漢方薬を選定いたします。
薬学的観点から効果的なメディカルアロマを活用

アロマテラピーは、芳香を意味する「アロマ(aroma)」と、療法を意味する「テラピー(therapy)」を組み合わせた言葉です。フランスやベルギーでは、代替・補完医療としてメディカルアロマが積極的に利用されています。
漢方薬ヘッドスパでは、薬学的観点から精油の本質を捉え、効果的にメディカルアロマを活用しています。
雨頭痛の仕組みと漢方薬ヘッドスパの効果

雨頭痛は「粘り水」が引き起こす頭痛のことです。その発生には消化器・肺・腎が深く関わっており、頭痛の他にも頭の重さ、手足のだるさ、軟便などを伴うことがあります。このような症状を改善するためには粘り水を排泄する必要があります。
漢方薬ヘッドスパは消化器・肺・腎に働きかけることで、雨頭痛の改善に大きな効果を発揮します。
雨頭痛の原因は「粘り水」が栄養分の通り道をふさぐこと

雨の日や湿度の高い日には、「どうも頭が痛くなる」という経験をしたことのある人は多いのではないでしょうか?頭痛に伴い、頭が重く感じたり、圧迫感を感じたりすることもあります。このような症状を「雨頭痛」と呼んでいます。
漢方では、雨頭痛の多くは、身体に溜まった粘り水が、頭へ送られる栄養分の通り道をふさいでしまうことが原因だと言われます。
粘り水は過剰な水分が蓄積したもの

頭の健康を維持するためには、水分がスムーズに流れていることが重要です。仮に、この流れが停滞すると、水分は次第に粘り気を帯び始めます。これが「粘り水」です。粘り水は、そのベタベタとした性質から物質の動きを妨げます。
ところで、頭が正常に働くための栄養分は、消化器で飲食物から抽出され、運搬経路を通じて運ばれます。体の中で水流が停滞すると、増加した粘り水が運搬経路に悪影響を及ぼし、十分な栄養が頭へ送られなくなります。これによって、雨頭痛が発生します。
雨頭痛を解消するためには、過剰な水分を体外に排泄し、身体の巡りを良くすることが大切です。
雨頭痛に伴う主な症状

雨頭痛には、さまざまな症状を伴うことがあります。以下に、その例を示します。
《症状1》 頭が重い
粘り水によって頭部が包み込まれ、頭の重さを感じるようになります。
《症状2》 食欲不振
粘り水によって消化・吸収機能が低下し、食欲が減退します。
《症状3》 手足が重い、だるい
粘り水によって消化・吸収機能が低下し、手足に栄養が運ばれにくくなるため、重さ・だるさを感じるようになります。
《症状4》 胸部の圧迫感
粘り水によって気の流れが阻害され、胸部に圧迫感が生じます。
《症状5》 胃の不快感
粘り水によって気の流れが停滞し、胃に不快感が生じます。
《症状6》 尿の排泄困難
消化器の水分調節機能が乱れ、尿の排泄が困難になります。
《症状7》 軟便
消化器の水分調節機能が乱れ、便が緩くなります。
雨頭痛の改善には過剰水分を取り除くことが重要

雨頭痛の主な原因は、身体の中で水分代謝がうまくいかなくなり、過剰な水分が溜まることです。この過剰水分が消化器に滞留すると、次第に粘り気を帯び、消化器の働きを妨げるようになります。
その結果、頭部へ送られる栄養経路が阻害され、雨頭痛が発生します。このことから、雨頭痛を改善するためには、過剰水分を身体から排泄することが非常に重要であることがわかります。
漢方薬ヘッドスパの効果:消化器・肺・腎に働きかけ、雨頭痛を改善!

雨頭痛の改善には、消化器、肺、腎へのアプローチが必要です。これらの臓器は身体の水分調整と排泄に重要な役割を果たしています。
消化器は飲食物の消化吸収を促進し、水分を均等に供給する役割を担っています。肺は水分を運ぶ「気」の循環をコントロールし、身体の水分調整を行います。腎は水分の輸送と再吸収、尿の排泄を通じて、水分バランスを調整しています。
このように身体の水分調整と密接に関連している各臓器に対して、漢方薬ヘッドスパがどのような効果を発揮するのか詳しく見ていくことにいたしましょう。
消化器の不調が粘り水を作る!

飲食物は身体の中に入ると、消化器の働きにより、栄養分と水分に分解されます。その後、身体上部の頭や心(しん)、肺などに送られ、さらに、心と肺の働きによって全身に運搬されます。
仮に吸収した栄養分に過剰な水分が含まれていた場合は、すぐに肺や腎に送られ、汗や尿として体外へ排泄されます。消化器の機能が弱まると、心や肺への運搬が途絶え、消化器内に停滞した水分から粘り水が作られることになります。
ヘッドスパAは消化器にアプローチし、過剰水分を排泄するよう効果的に働きかけます。
消化器へのアプローチ方法:ヘッドスパA

ヘッドスパAは、雨頭痛対策で使用する生薬グループです。どのようにして消化器にアプローチするのか詳しく見ていくことにいたしましょう。
1. 粘り水の生成を抑制
ヘッドスパAには、粘り水の生成を抑制する効果があります。粘り水は、身体に過剰な水分が蓄積されることで生じるベトベトした物質です。ヘッドスパAは過剰な水分の排泄を促し、粘り水の生成を抑制します。
2. 消化器の蠕動運動を促進
ヘッドスパAには、消化器の気の流れを整え、蠕動(ぜんどう)運動を調節する作用があります。蠕動運動は、消化器の筋肉がリズミカルに収縮と弛緩(しかん)を繰り返す運動で、飲食物の消化と排泄を促進します。
ヘッドスパAは、蠕動運動を調節することによって、消化器の不調を効果的に軽減します。
3. 利水作用
ヘッドスパAは、消化器や組織間に蓄積した水分を血液中に吸収し、尿として排泄する利水作用によって、消化器の水分バランスを調節します。この働きにより、以下に示す症状の緩和が期待されます。
胸部圧迫感への効果
胸部の圧迫感は、胸部や上腹部に水分が滞留して不快感を引き起こす現象です。ヘッドスパAが胸部や上腹部の過剰水分を利水することによって、胸部の圧迫感を軽減させる効果が期待できます。
軟便への効果
消化器の水分代謝の乱れによって、便の質や量が変化し、軟便が生じることがあります。ヘッドスパAの利水作用によって、消化管内の水分の正常な吸収と排泄が促され、軟便の改善効果が期待されます。
浮腫への効果
浮腫(ふしゅ)は、身体の組織に余分な水分が滞留し、むくみが現れる状態を指します。ヘッドスパAの利水作用によって、組織間に停滞している水分を排泄し、浮腫を軽減する効果が期待できます。
鬱に対する効果
ヘッドスパAは、気の流れを整え、気分の落ち込み・鬱(うつ)症状の改善に効果を示します。含有する有効成分が、神経伝達物質の調節や脳内の化学物質のバランスを調整することで、抗うつ作用を発揮すると考えられています。
また、ヘッドスパAは自律神経系の調整にも関与しています。自律神経のバランスが乱れると、動悸、息切れ、不眠などの発症につながります。
肺の水分調整に効果的なヘッドスパB

生薬の中には、肺へのアプローチを通じて雨頭痛の改善に効果を発揮するグループがあります。これをヘッドスパBと呼びます。ヘッドスパBは、湿気の多い夏季には特に効果的な薬です。具体的な特徴は次の通りです。
芳香を有し、辛味成分により熱の放散を強める
ヘッドスパBには適度な辛味成分が含まれており、身体にこもった熱を放散する効果があります。辛味は体内エネルギーを刺激して活性化させる性質を持ち、血行を促進し、発汗や尿の排泄を増やす効果を持ちます。
また、ヘッドスパBには芳香成分も含まれており、心地よい香りを放ち、辛味による熱の放散を助けます。
ヘッドスパBが持つ辛味や芳香は、熱による不快な症状に対して効果的に働きます。
気の流れを整え、過剰水分を取り除く
漢方には、血液や水分を動かす「気」と呼ばれるものがあります。健康を維持するためには、気の流れがスムーズであることが必要です。ところが、過剰な水分の滞留によって発生する粘り水が気の流れを阻害し、雨頭痛を発症することがあります。
このような時に効果を発揮するのがヘッドスパBです。過剰水分の排泄を促し、気の流れを整えます。雨頭痛に伴う身体の痛みや重さ、だるさにも効果的です。
ヘッドスパBは、粘り水の分解と排泄を促すことによって気の流れを整え、雨頭痛に対して効果的に働きます。
肺の気を開き、気道の通過を改善
ヘッドスパBには適度な辛味成分に加え、苦味成分が含まれています。血行を促進し、気道の通過を改善する辛味成分に対し、苦味成分には過剰水分や粘り水を排泄する効果があります。
これらの作用によって、肺の気を開く効果が期待され、頭痛や頭の重さ、圧迫感を軽減します。同時に、肺の機能を強化し、鼻づまりや呼吸困難などの症状を改善することもできます。
上昇効果
ヘッドスパBに属する生薬『ヘッドスパB1』には「上昇」の効果があります。上昇とは、他の生薬と組み合わせることで、それらを身体の上部に効果的に運ぶことです。
ヘッドスパB1を使用することによって、他の生薬の効果を上半身に集中させることができるため、雨頭痛、頭の重さや圧迫感、鼻づまりなどの改善効果に期待が持てます。
また、ヘッドスパB1は、過剰水分の排泄や粘り水を除去する効果も併せ持ちます。過剰な水分は雨頭痛の主な原因となるため、この点からも雨頭痛に対する高い効果が見込まれます。
肺の宣発作用を高める
ヘッドスパBには肺の宣発(せんぱつ)作用を高める効果があります。宣発作用とは、肺の機能により水分を発散させる効果を指します。
過剰な水分の滞留は粘り水を生成し、雨頭痛を発症させる可能性を高めます。さらに、粘り水の停滞によって、頭部に重さや圧迫感が生じ、思考力や集中力が低下することもあります。
また、粘り水は尿の排泄を妨げるため、排尿量が減少し、身体のバランスを乱す可能性があります。このような数々の症状を改善するために、宣発作用を強化し、過剰な水分を発散させることは非常に効果的なことだと考えられます。
ヘッドスパBは、肺の宣発作用を高めることによって、雨頭痛を始めとする不快な症状を改善するために効果的な生薬グループです。
腎の排泄機能を高めるヘッドスパC

腎は、体内における水分の輸送と再吸収、尿の排泄を通じて、適切な水分バランスを調整しています。肺の働きによって膀胱に運ばれた水分は、腎の働きによって、身体に必要な水分と不要物に分けられます。
仮に、腎機能が低下した場合、過剰な水分が蓄積し、粘り水の発生につながります。雨頭痛対策で使われるヘッドスパCには、消化器や組織内への過剰な水分の蓄積を防ぎ、尿量を増加させる効果があります。これにより、浮腫や腹水、下痢、尿量の減少などの症状改善が期待できます。
多岐にわたる漢方薬ヘッドスパの効果:癒しと調整で快適な日常生活をサポート

今回は雨頭痛に対する効果がテーマですが、その他にも漢方薬ヘッドスパの効果は多岐にわたります。髪や頭皮の健康だけでなく、全身に働きかけて身体のバランスを整え、快適な日常生活を送れるようサポートいたします。以下に効果の一例をご紹介いたします。
効果例1
頭痛、頭重、めまい、立ちくらみ、目の疲れ・かすみ・乾燥・充血・痛み、耳のふさがり感、聴力低下、耳鳴り、慢性鼻炎、蓄膿症、嗅覚障害、嗅覚異常、喉のふさがり感
効果例2
気管支喘息、慢性気管支炎、咳
効果例3
動悸
効果例4
精神不安、不眠症
効果例5
産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、産後の体力低下、つわり、月経不順、更年期障害、貧血、冷え性
効果例6
病後・術後の体力低下・衰弱、寝汗、息切れ、疲労倦怠感、軽い尿漏れ、夜尿症、むくみ
効果例7
湿疹・皮膚炎、皮膚の荒れ、かゆみ、いぼ、にきび
効果例8
急・慢性胃炎、神経性胃炎、胃痛、腹痛、胃腸虚弱、食欲不振、夏やせ、慢性下痢、便秘
効果例9
腰痛、下肢のしびれ・痛み、四十肩、五十肩、神経痛、関節痛、筋肉のけいれん、こむら返り、筋力低下、寝違え、筋肉痛、肩こり
【まとめ】漢方薬ヘッドスパ:雨頭痛の改善を目指す漢方薬とメディカルアロマのヘッドスパ

雨頭痛は、身体の中に蓄積した過剰な水分が粘り気を持つことによって生じる頭痛です。この症状に対し、漢方薬ヘッドスパでは、水分調整と排泄に重要な役割を果たす消化器、肺、腎に効果的な漢方薬を使用します。
ヘッドスパAは消化器の蠕動運動を改善し、ヘッドスパBは肺の宣発作用を高め、ヘッドスパCは腎の働きを助け、利尿作用を促進します。また、効果の高いメディカルアロマ精油を選び、「水を使った頭の健康法」であるヘッドスパ本来の力を引き出します。
このように、私たちが行なっている漢方薬ヘッドスパ「漢方薬アロマタッチ」は、身体が元々持っている「自然治癒力」を高めて、様々な体調不良の改善を目指すヘッドスパです。
漢方薬剤師。管理美容師。
銀座で20年間、健康に関する様々な御悩みを漢方薬ヘッドスパによって解決してきました。