【漢方薬剤師が解説】血少頭痛に効果的な漢方薬ヘッドスパ

ヘッドスパの効果は、髪質改善や頭皮ケアだけだと思っていませんか?漢方薬ヘッドスパは、一般的なヘッドスパとは異なり、髪や頭皮のお悩みというよりはむしろ身体全体の健康に関するお悩みを解決するヘッドスパです。漢方薬やメディカルアロマを使用し、多岐にわたる健康トラブルを解決へと導きます。

そして、身体がピンチな状況に陥っているときほど大きな効果を実感できるのが漢方薬ヘッドスパ最大の魅力です。

今回のテーマは「血少頭痛」です。寒さ、暑さ、湿度、疲労、血液、水分、肝・腎の不調など、様々な要因によって頭痛は引き起こされますが、血少頭痛は血液が不足したときに起きる頭痛です。

私は漢方薬剤師であり、美容師としても銀座で20年間活動してきました。その間、健康に関するご相談を数多くいただき、漢方薬ヘッドスパを用いて解決してきました。

身体のお悩みに幅広く対応できる漢方薬ヘッドスパですが、今回は、血液が不足することによって生じる血少頭痛に対する効果を説明いたします。

この記事により、血少頭痛の要因や特徴の他、血少頭痛に対する漢方薬ヘッドスパのきめ細やかな対処法をご理解いただけると思います。

ヘッドスパとは「水を使った頭の健康法」

「ヘッドスパ」は、英語の「head」(頭)と「spa」(スパ)を組み合わせた言葉です。「スパ」という言葉は、元々はラテン語の「sanus per aquam」から来ており、「水による健康」を意味しています。

これは、古代ローマ時代において、温泉や湯治場が人々の健康維持に役立つことが広く認知されていたことに由来します。

つまり、ヘッドスパとは「水を使った頭の健康法」ということになり、水(お湯)はヘッドスパを行う際には欠くことのできない大切なものであるといえます。

漢方薬ヘッドスパは自然治癒力を高めるヘッドスパ

漢方薬ヘッドスパは、漢方薬とメディカルアロマを使用するヘッドスパです。漢方薬剤師がお話を伺い、お悩みの症状に合わせた漢方薬と精油を選んでヘッドスパを行います。漢方薬ヘッドスパのコンセプトは、自然治癒力を高めて体調不良を改善することです。

 ノーリンスで軽やかな髪に!

髪に対しても「自然治癒力を高める」というコンセプトは同じで、髪が持っている本来の力を引き出すことにより、リンスやトリートメント類を一切使用せず、サラッと軽い仕上がりを実現します。髪の表面に付着させるものとは違い、高い効果が持続します。

 漢方薬はオーダーメイド治療

漢方薬は、いくつかの生薬を組み合わせて作られる薬です。例えば、「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」という漢方薬は、当帰(とうき)、地黄(じおう)、木通(もくつう)、黄芩(おうごん)、沢瀉(たくしゃ)、車前子(しゃぜんし)、竜胆(りゅうたん)、山梔子(さんしし)、甘草(かんぞう)といった9つの生薬からできています。

それぞれの生薬には役割があり、お互いの特徴を活かしながら効果を高め合う構成になっています。漢方薬の目的は、体全体のバランスを整え、身体が元々持っている「自然治癒力」を高めて体調不良を改善することです。

そのためには、一人ひとりの体質や体調に合わせて処方する必要があります。これが「漢方薬はオーダーメイド治療」と言われる由縁です。

POINT

漢方薬ヘッドスパでは、漢方薬剤師がお客さま一人ひとりの悩みに応じて適切な漢方薬を選定いたします。

 薬学的観点から効果的なメディカルアロマを活用

アロマテラピーは、芳香を意味する「アロマ(aroma)」と療法を意味する「テラピー(therapy)」を組み合わせた言葉です。フランスやベルギーでは、代替・補完医療としてメディカルアロマが積極的に利用されています。

POINT

漢方薬ヘッドスパでは、薬学的観点から精油の本質を捉え、漢方薬剤師が効果的にメディカルアロマを活用いたします。

血液が不足したときに起きる血少頭痛

消化器は飲食物から栄養分を抽出し、これを血液に溶け込ませて頭部へ運びます。栄養分が運ばれないと、頭は栄養不足に陥り、痛みが生じます。このように、血液が不足したときに起きる頭痛が血少頭痛です。

血少頭痛の症状

血少頭痛では、次のような症状が現れます。

【頭痛】

脳脊髄液(のうせきずいえき)の元となる血液が不足すると頭は栄養不足となり、頭痛が生じます。血少頭痛では、めまいや頭のふらつきといった症状が多くみられます。

顔面蒼白(そうはく)

血液不足によって頭部に運ばれる栄養分が少くなり、顔色が悪くなります。

動悸(どうき)・不眠

漢方では心臓と精神は深い関係があると考えられています。心臓へ送られてくる血液が不足すると、心機能が低下し、動悸や不眠が生じます。

漢方薬ヘッドスパの効果

基本的に、漢方薬は複数の生薬から成り立っていますが、生薬には似たような働きをするものがあります。ここでは、漢方薬ヘッドスパで使用する類似生薬グループを便宜的にヘッドスパA、ヘッドスパB、ヘッドスパC、・・・と呼ぶことにします。また、漢方で使用される心や肝といった言葉は、西洋医学の心臓や肝臓と必ずしも一致するものではありませんが、正確性よりも読みやすさや分かりやすさを優先し、ここでは心臓、肝臓と表記いたします。

血少頭痛への漢方薬ヘッドスパでは、次のような効果を持つ複数の生薬をバランスよく組み合わせることによって、単独で使用するよりも高い効果が得られるように配合いたします。

ヘッドスパAの効果

ヘッドスパAの主な効果は、次の4つに分けられます。

①不足した血液を補う効果
②月経の周期を整える効果
③血液の流れを改善し、痛みを止める効果
④腸を潤し、便通を良くする効果

①、②、③、④の順に効果を詳しく見ていくことにいたしましょう。

①不足した血液を補う効果

ヘッドスパAは、不足した血液を補う効果を持ち、血液の流れを改善するため、血液が不足しているときに有効です。

不足した血液を補い、血流を改善する効果

効果例1

ヘッドスパAは、肝臓で血液が不足しているときの次のような症状に効果的です。

・顔色や皮膚にツヤがない
・頭がボーッとする
・手足のしびれ感
・筋肉の痙攣(けいれん)

効果例2

ヘッドスパAは、心臓で血液が不足しているときの次のような症状に効果的です。

・眠りが浅い
・睡眠時に夢を多く見る
・動悸
・不安感
・物忘れ

効果例3

ヘッドスパAは、肝臓の血液不足が進行し、正常な筋肉の働きや肌の状態を維持できなくなっているときの次のような症状に効果的です。

・かゆみ
・皮膚の萎縮(いしゅく)
・あかぎれ
・落屑(らくせつ):皮膚がボロボロと剥(は)がれ落ちる

気をめぐらせ、不足している血液を補う効果

効果例1

血液不足を改善するためには、血液を補う生薬だけではなく気のめぐりを良くする必要があります。そのため、血液不足の症状には、血液を補うヘッドスパAに気を高める生薬を配合して漢方薬ヘッドスパを行います。

効果例2

血液不足を急速に回復させる必要があると考えられる場合には、血液を補うヘッドスパAに大量の気を高める生薬を配合して漢方薬ヘッドスパを行います。

効果例3

気が不足しているときには気のめぐりを良くする生薬を使用しますが、血液を補う生薬を少量加えることによって一層効果が高まります。そこで、気が不足しているときに血液を補う効果があるヘッドスパAを加えて漢方薬ヘッドスパを行うことがあります。

水分が不足しているときに血液や水分を補給して身体を潤わせる効果

水分が不足している状態では、水分を補給する生薬に血液の流れを改善するヘッドスパAを補助的に加えて漢方薬ヘッドスパを行うことがあります。

②月経の周期を整える効果

ヘッドスパAは血液を補って血流を良くする効果を持つため、月経不順に使用します。また、循環改善、内分泌の調整、子宮筋腫などにも使用します。

〈効果例1〉

ヘッドスパAは、血液不足の次のような症状に効果的です。

・月経遅延
・月経過少
・無月経

〈効果例2〉

ヘッドスパAは、気の流れが滞ったことによる月経痛に効果的です。

〈効果例3〉

ヘッドスパAは、血液が停滞し、機能を十分に果たせなくなっているときの次のような症状に効果的です。

・月経痛
・凝血塊(ぎょうけつかい):血液の固まり
・無月経

〈効果例4〉

ヘッドスパAは、身体に熱がこもっているときの次のような症状に効果的です。

・月経過早
・月経過多

〈効果例5〉

ヘッドスパAは、身体に冷えがあるときの次のような症状に効果的です。

・下腹部の冷え
・月経痛
・月経遅延

③血液の流れを改善し、痛みを止める効果

ヘッドスパAは血液の流れを改善し、血管拡張効果、血行促進効果、鎮痙(けいれんを止める)・鎮痛の効果を持っています。

〈効果例1〉

ヘッドスパAは、血液が停滞し、機能を十分に果たせなくなったときの次のような症状に効果的です。

・疼痛
・出血
・腫瘤(しゅりゅう):こぶ、固まり
・うっ血
・月経不順

〈効果例2〉

ヘッドスパAは、しびれを伴う痛みに効果的です。

④腸を潤し、便通を良くする効果

ウサギの糞のようなコロコロとした便は、高齢者や産後に生じやすい症状です。これは、腸が乾燥しているために起きる症状で、腸内を潤す効果があるヘッドスパAを用いることによってスムーズな排便が可能になります。特に血液不足を伴うものでは、身体を潤すとともに、栄養不足も解消するため、一層高い効果が期待できます。

ヘッドスパBの効果

ヘッドスパBの主な効果は、次の3つに分けられます。

①熱を冷まし、発汗を促す効果
②視力を高める効果
③肝機能の亢進を鎮め、めまい、ふるえ、痙攣(けいれん)などの症状を改善する効果

①、②、③の順に効果を詳しく見ていくことにいたしましょう。

①熱を冷まし、発汗を促す効果

〈効果例〉

風邪(ふうじゃ)によって体表に熱を持ったときに生じる次のような症状にヘッドスパBを用いた漢方薬ヘッドスパを行います。

・発熱
・軽度の悪寒あるいは熱感
・頭痛
・目の充血
・喉(のど)の痛み
・咳(せき)

補足

頭痛を引き起こす原因の1つに風邪というものがあります。風邪は、「かぜ」ではなく「ふうじゃ」と読みます。風邪が身体に侵入すると、頭痛や悪寒(おかん)が生じます。

②視力を高める効果

風邪(ふうじゃ)による熱(風熱)が原因となり、目の充血、眼痛を生じることがあります。このようなときには、風熱を取り除き、視力を高める効果を持つヘッドスパBを用いた漢方薬ヘッドスパを行います。また、肝臓の血液と水分が不足しているときの視力減退にも効果的です。

〈効果例1〉

ヘッドスパBは、風熱による次のような症状に効果的です。

・目の充血
・眼痛
・角膜混濁

〈効果例2〉

ヘッドスパBは、肝臓の血液と水分が不足しているときの次のような症状に効果的です。

・目がしょぼつく
・目がかすむ
・目の乾燥感
・頭がふらつく

③肝機能の亢進を鎮め、めまい、ふるえ、痙攣(けいれん)などの症状を改善する効果

ヘッドスパBは、不足している水分を補い、肝機能の亢進を鎮め、ふらつき・めまい・頭痛・のぼせなどの症状を改善する効果を持っています。

〈効果例〉

肝臓が熱を帯びることによって現れる次のような症状にヘッドスパBを用いた漢方薬ヘッドスパを行います。

・頭のふらつき
・目がくらむ
・頭痛
・手足のふるえ
・筋肉の痙攣(けいれん)

ヘッドスパCの効果

ヘッドスパCの主な効果は、次の2つに分けられます。
①身体に溜まった不要な水分を取り除く効果
②気をめぐらせて消化器を健やかにする効果

①、②の順に効果を詳しく見ていくことにいたしましょう。

①身体に溜まった不要な水分を取り除く効果

ヘッドスパCは、気をめぐらせて胃腸の蠕動(ぜんどう)運動を調整し、水分の吸収を促進する効果を持っています。また、水分が粘り気を持つのを防ぐ効果もあります。

気をめぐらせて不要な水分を取り除き、嘔吐(おうと)を止める効果

ヘッドスパCは、水分代謝が上手くいかなくなることによって蓄積した不要な水分を取り除く効果を持つため、次のような症状に有効です。

効果例1

余分な水分によって消化器の運化機能が障害された次のような症状

・吐き気
・嘔吐(おうと)
・しゃっくり
・いつも、お腹が張っている感じがする
・下痢

効果例2

熱がこもり、水分代謝バランスが乱れているときの次のような症状

・胃液や胃の内容物が食道に逆流し、口や喉(のど)の奥がすっぱく感じたり、苦いゲップやすっぱいゲップが出たりする

・胸やけ
・口の中が苦い

効果例3

冷えて水分代謝が停滞することによって生じる次のような症状

・腹痛
・水様の下痢
・寒気

効果例4

飲食物を運搬・消化する能力が落ちて体内に不要な水分が生じると、さらに消化機能の低下が進むことがあります。このようなときには、ヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

気をめぐらせて、粘り気のある水分を取り除く効果

ヘッドスパCは、水分代謝障害によって生じる粘り気のある水分を取り除く効果を持っています。消化器の働きが上手くいかなくなると、体内には不要な水分が蓄積します。ヘッドスパCは、気をめぐらせて消化器の蠕動(ぜんどう)運動を正常化し、水分代謝を促します。不要な水分が蓄積し続けると、水分は濃縮されて次第に粘り気を持つようになり、排泄するのが難しくなります。ヘッドスパCが早い段階で不要な水分を排泄することにより、粘り気のある水分の生成を抑制する結果、痰(たん)や咳(せき)が自然と消失することになります。

効果例1

体内に余分な水分が溜まったときの次のような症状

・咳(せき)
・呼吸困難
・痰(たん)が多い

効果例2

熱がこもり、水分代謝バランスが乱れているときの次のような症状

・胃液や胃の内容物が食道に逆流し、口や喉(のど)の奥がすっぱく感じたり、苦いゲップやすっぱいゲップが出たりする

・胸やけ
・口の中が苦い

効果例3

肺の水分不足で、痰の粘り気が強くて喉(のど)に絡んでなかなか出てこないときの次のような症状

・乾いた咳(せき)
・無痰~少痰あるいは粘り気のある痰

効果例4

消化器の気が不足することによって余分な水分と粘り気のある水分が生じたときには、ヘッドスパCを用いた漢方薬ヘッドスパが効果的です。

効果例5

咳(せき)を鎮め、呼吸困難や喘息を改善する生薬にヘッドスパCを加えると、粘り気のある痰を排泄する力が加わり、喘息などに対する改善効果が高まります。

効果例6

不要な水分が頭まで上昇し、鼻の粘膜に浮腫が生じたり、鼻腔内で溢(あふ)れだしたりしたときの次のような症状

・めまい
・吐き気
・嘔吐(おうと)

②気をめぐらせて消化器を健やかにする効果

ヘッドスパCは、気をめぐらせて胃腸の蠕動(ぜんどう)運動を調整し、消化吸収を促進することによって、膨満感(ぼうまんかん)を取り除く効果、吐き気を止める効果、食欲を増進する効果 、他の生薬の吸収を助けて胃もたれを予防する効果を持っています。

〈効果例〉

消化器の気のめぐりが悪い時の次のような症状に高い効果を示します。

・お腹や胸が脹る
・吐き気
・しゃっくり
・食欲不振

多岐にわたる漢方薬ヘッドスパの効果:癒しと調整で快適な日常生活をサポート

今回は頭痛に対する効果についてお話ししましたが、その他にも漢方薬ヘッドスパの効果は多岐にわたります。私たちは、漢方薬ヘッドスパを用いて、身体が元々持っている「自然治癒力」を活かして身体を癒し、皆様が快適な日常生活を送れるようになることを目指しています。ここに、漢方薬ヘッドスパの効果の一例を挙げますので、ご参照ください。

効果例1

頭痛、頭重、めまい、立ちくらみ、目の疲れ・かすみ・乾燥・充血・痛み、耳のふさがり感、聴力低下、耳鳴り、慢性鼻炎、蓄膿症、嗅覚障害、嗅覚異常、喉のふさがり感

効果例2

気管支喘息、慢性気管支炎、咳

効果例3

動悸

効果例4

精神不安、不眠症

効果例5

産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、産後の体力低下、つわり、月経不順、更年期障害、貧血、冷え性

効果例6

病後・術後の体力低下・衰弱、寝汗、息切れ、疲労倦怠感、軽い尿漏れ、夜尿症、むくみ

効果例7

湿疹・皮膚炎、皮膚の荒れ、かゆみ、いぼ、にきび

効果例8

急・慢性胃炎、神経性胃炎、胃痛、腹痛、胃腸虚弱、食欲不振、夏やせ、慢性下痢、便秘

効果例9

腰痛、下肢のしびれ・痛み、四十肩、五十肩、神経痛、関節痛、筋肉のけいれん、こむら返り、筋力低下、寝違え、筋肉痛、肩こり

【まとめ】漢方薬ヘッドスパ:血少頭痛の改善を目指す漢方薬とメディカルアロマのヘッドスパ

ヘッドスパAの主な効果

①不足した血液を補う効果
②月経の周期を整える効果
③血液の流れを改善し、痛みを止める効果
④腸を潤し、便通を良くする効果

ヘッドスパBの主な効果

①熱を冷まし、発汗を促す効果
②視力を高める効果
③肝機能の亢進を鎮め、めまい、ふるえ、痙攣(けいれん)などの症状を改善する効果

ヘッドスパCの主な効果

①身体に溜まった不要な水分を取り除く効果
②気をめぐらせて消化器を健やかにする効果

POINT

私たちが行っている漢方薬ヘッドスパは、ヘッドスパA〜Cの様に各症状に合わせた生薬を効果的に組み合わせ、身体が元々持っている「自然治癒力」を高めることによって様々な体調不良の改善を目指すヘッドスパです。