認知症の症状と段階。漢方薬アロマタッチの可能性

認知症の症状は、重度別に4段階に分けることができます。第1段階は軽度認知障害(MCI)、第2段階は軽度認知症、第3段階は中等度認知症、第4段階は重度認知症です。ここでは、各段階で現れる症状の違いを検討するとともに、認知症に対する漢方薬アロマタッチの可能性を探ります。
認知症の症状4段階
認知症は、臨床認知症尺度(Clinical Dementia Rating ; CDR)にしたがって、認知症の症状を重度別に4段階に分類することができます。本来、臨床認知症尺度は「健康(CDR:0)」を含めて5段階で評価するのですが、ここでは健康を除く4段階について検討いたします。
第1段階 軽度認知障害(MCI )の症状
第1段階である軽度認知障害(MCI )では、軽い物忘れの症状が頻繁に起こるようになり、出来事を部分的に思い出す良性健忘が生じ始めます。見当識の面では、時間の経過に関して軽度の困難さを感じることがあります。
例えば、最近起こったニュースの内容や数週間前に行った旅行での出来事について、その出来事があったことは憶えていても、それが「いつ、どこで起こったか」という一歩踏み込んだ内容については思い出すことができなくなります。
また、問題解決能力や 類似点・相違点の判断力にも軽度の障害が認められる段階で、社会集団、買い物、仕事、ボランティアなどの活動に軽度の障害が出始め、家庭生活や趣味、知的関心も薄れてきます。
第2段階 軽度認知症の症状
第2段階の軽度認知症では、中等度の記憶障害によって日常生活への支障が出始めます。特に、最近の出来事に対する記憶障害の症状が顕著になります。時間の見当識にも中程度の障害が生じ始めます。また、検査場所における見当識は良好でも、他の場所で地誌的見当識に障害(熟知している場所で道に迷う症状)が起きることがあります。
問題解決能力や 類似点や相違点の判断力に中程度の障害が認められる段階ですが、通常の場合、社会的判断は保持されています。仕事、買い物、ボランティア、社会集団での活動には関わっていても自立して機能できない段階ですが、簡単な検査では正常と診断されることも多いといわれます。
家庭生活の面では、軽度でも確実な障害がみられ、複雑な家事はできなくなり、手間のかかる趣味への関心もなくなります。この段階では介護が奨励されます。
第3段階 中等度認知症の症状
第3段階に位置する中等度認知症では、重度の記憶障害が生じ、過去に深く学習したことだけが記憶として残り、新しい記憶は急速に失われるという症状が出てきます。特に時間に対する障害が重くなるため、時間的見当識障害が現れるようになります。また、地誌的見当識障害もよく見られるようになります。
問題解決能力や 類似点、相違点の判断力にも重度の障害が認められる段階となり、多くの場合、社会的判断力も障害されます。この段階では、第三者の目には自宅外での活動ができるように映りますが、実際には家庭外での自立は不可能な状態です。
家事は非常に簡単なことを行うこと以外は難しく、物事への関心は限定されたものになります。介護の面では、服を着たり、衛生管理といった身の周りのことへの介助が必要となります。
第4段階 重度認知症の症状
第4段階は重度認知症です。この段階における症状では、より重度の記憶障害が現れるようになり、記憶は断片的なものがわずかに残っている程度となります。この段階に至ると、時間や場所への見当識は、ほぼ完全に失われます。ただし、人物への見当識は保たれるという特徴を持ちます。
また、問題解決能力や判断力も失われ、自宅外での生活は不可能となります。家庭内でも意味のある生活活動は困難になり、日常生活に対する十分な介護が必要とされ、失禁症状も頻繁に現れるようになります。
脳のゴミが一定の段階を超えると認知症を発症?
成人の脳では、1日に約7gのタンパク質のゴミが作られています。このゴミは、適切に排泄されないと脳内に蓄積し、健康を損なう可能性が高いといわれています。認知症の原因物質として疑われるアミロイドβ(ベータ)も脳で生じるゴミの一種です。
通常、これらのゴミはグリンパティックシステムと呼ばれる脳のクリーニングシステムによって処理されていますが、ここに何らかのトラブルが生じるとゴミは脳に蓄積されることになります。もしかすると、ゴミが一定の段階に達すると認知症などの脳トラブルが発症するのかもしれません。脳のゴミを適切に排泄することは認知症のお悩みを解決するための糸口になると考えられます。
段階的に蓄積する脳のゴミと記憶の低下
一般に、人間の体で生じたゴミは腎臓や肝臓で処理されて体外へ排泄されます。その過程で、体中に張り巡らされたリンパ系が様々な組織で生じたゴミを回収し、細い導管→太い導管→血管の順に流れ込み、ゴミを腎臓や肝臓へと運び込みます。かつて、脳にはリンパ系のようなゴミを回収する仕組みは存在せず、脳で生じたゴミは全て脳内で処理されると考えられていました。
しかし、近年の研究によって脳にもゴミを回収する仕組みが備わっていることがわかりました。この仕組みを「グリンパティックシステム」といいます。脳の血管は「血管周囲腔(けっかんしゅういくう)」に囲まれています。両者の間には脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体が流れ、血管周囲腔の外側は「アストロサイト」と呼ばれる支持細胞とつながっています。
脳で生じたゴミは脳脊髄液中に排泄され、アストロサイトを通じて静脈内に送られて腎臓や肝臓で処理されることがわかっています。認知症の脳内では、グリンパティックシステムが正常に機能せずに段階的にアミロイドβという脳のゴミが蓄積し、記憶が失われていくのではないかといわれています。
頭蓋仙骨療法が認知される段階に至らなかった理由
グリンパティックシステムは、近年になって明らかにされた脳のゴミ処理システムです。しかし、この存在は以前より予見され、手術中に、時折、脳で生じたゴミの排泄ルートである脳脊髄液の流れ方に異変が起きることに気付いた医師がいます。
この医師は、脳脊髄液の流れに異常が生じると記憶力・集中力の低下、頭痛、無気力、慢性疲労など様々な現象が起きることを発見し、さらに、外部からの手指刺激を用いた脳脊髄液の流動調整によって、これらの症状が治癒することを見出だしました。この手法は頭蓋仙骨療法(とうがいせんこつりょうほう)と呼ばれ、まさにグリンパティックシステムの正常化を目指す手法と考えられます。
グリンパティックシステムの研究には、脳における水の出入り口となる「アクアポリン4」というタンパク質の発見が重要な役割を果たしましたが、アクアポリン4の働きを証明するためには脳内の水の動きを生きたまま可視化する必要がありました。
当時は現在のような高度な顕微鏡技術がなかったため、世の中の人にグリンパティックシステムの存在を広く認知されるのは難しかったのかもしれませんが、頭蓋仙骨療法における脳脊髄液の流動システムの考え方は、まさしくグリンパティックシステムそのものです。
認知症に対する漢方薬アロマタッチの可能性
私たちは、この手法をさらに進化させ、脳に働きかける漢方薬、大きなリラックス効果を生むメディカルアロマシャワー、温泉療法を頭蓋仙骨療法と融合し、様々な角度から脳を活性化させることを目指した「漢方薬アロマタッチ」を開発いたしました。
漢方薬、メディカルアロマ、頭蓋仙骨療法、温泉療法をそれぞれ単独で用いるのではなく、全て同時に行うことに私たちは大きな意義を見出しています。漢方薬アロマタッチでは漢方薬を必要とするため、薬剤師の資格と医薬品の取り扱い許可が必要です。また、メディカルアロマシャワーの実践には美容師の資格と美容所の許可が必要です。
私たちは、これら全ての資格と許可を所有し、みなさまに安心してご利用いただける環境を整えています。漢方薬アロマタッチは、既成概念にとらわれず、何とか認知症のお悩みを解決する方法はないかと試行錯誤した結果、ようやく辿り着いた手法です。
漢方薬アロマタッチが目指すのは、みなさまに快適な日常生活を送っていただくことです。認知症のお悩みを解決へ導くひとつの手段としてお考えいただければ幸いです。
このページは医薬関係者への情報提供を目的としています。
薬剤師・美容師の資格を所有しています。幼少時より自然食品を中心とした生活を送る中で食事の大切さを学び、その後、漢方薬を学びました。日々、苦痛が少なく効果が大きい健康法の開拓に努めています。