認知症になりやすい習慣と漢方薬アロマタッチによる対策

最近の研究によって、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病が認知症の発症や進行に大きな影響を及ぼすことがわかってきました。そこで、認知症になりやすい習慣を見直し、さらに、認知症と関係が深い脳のゴミと漢方薬アロマタッチによる対策を検討していきます。

認知症になりやすい習慣と高血圧

これまでも高血圧と認知症との間には密接な関連があるといわれてきましたが、最近の報告によると、中年期の高血圧に加えて老年期の重症高血圧や重度の低血圧も認知症の発症に関与することがわかってきました。高血圧によって動脈硬化や虚血、血管内皮の障害、血管透過性の亢進を引き起こし、脳のゴミといわれるアミロイドβの脳内移行が促進され、認知症が加速すると推定されています。高血圧になりにくくするためには、減塩、節酒、禁煙、適度な運動などの習慣を心がけることが大切です。

認知症になりやすい習慣と糖尿病

大規模な疫学研究によって認知症と糖尿病の関連性の高さが報告され、現在、大きな注目を集めてます。糖尿病治療ガイドでも糖尿病の慢性合併症に認知症が掲載され、「高齢糖尿病患者の認知症リスクは、アルツハイマー型認知症および脳血管性認知症ともに非糖尿病者の2~4倍である」と明記されています。基礎研究により、インスリン抵抗性や高インスリン血症が脳のゴミ「アミロイドβ」の沈着を促進し、認知症が進行する分子メカニズムも少しづつ明らかとなりつつあるといわれます。糖尿病になりにくくするためには、食物繊維が多くバランスの良い食事と適度な運動習慣が大切といわれます。

認知症になりやすい習慣と脂質異常症

脂質異常症(高脂血症)は、血清脂質の検査が異常値を示す病気です。コレステロール代謝異常が脳のゴミ「アミロイドβ」の産生や凝集、神経細胞変性に関与するという報告が多くあります。さらに、コレステロールと認知症発症との疫学研究も数多く報告されています。脂質異常症になりにくくするためには、肉、卵、清涼飲料水、お酒、甘いお菓子を少なめにし、野菜(食物繊維)、魚油(とくにイワシなどの青魚含まれるDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸)、豆腐や納豆などの大豆製品を多く取ることが大切です。

脳にゴミが溜まると認知症になりやすい?

成人の脳では、1日に約7gのタンパク質のゴミが作られています。このゴミは、適切に排泄されないと脳に蓄積し、健康を損なう可能性が高いといわれています。認知症の原因物質として疑われるアミロイドβも脳で生じるゴミの一種です。

通常、これらのゴミはグリンパティックシステムと呼ばれる脳のクリーニングシステムによって処理されていますが、ここに何らかのトラブルが生じるとゴミは脳に蓄積されることになります。もしかすると、脳にゴミが溜まると認知症になりやすくなるのかもしれません。この脳のゴミを排泄することが認知症対策の大きなポイントになると考えられます。

グリンパティックシステムと記憶の行方

一般に、人間の体で生じたゴミは腎臓や肝臓で処理されて体外へ排泄されます。その過程で、体中に張り巡らされたリンパ系が様々な組織で生じたゴミを回収し、細い導管→太い導管→血管の順に流れ込み、ゴミを腎臓や肝臓へと運び込みます。かつて、脳にはリンパ系のようなゴミを回収する仕組みは存在せず、脳で生じたゴミは全て脳内で処理されると考えられていました。

しかし、近年の研究によって脳にもゴミを回収する仕組みが備わっていることがわかりました。この仕組みを「グリンパティックシステム」といいます。脳の血管は「血管周囲腔(けっかんしゅういくう)」に囲まれています。両者の間には脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体が流れ、血管周囲腔の外側は「アストロサイト」と呼ばれる支持細胞とつながっています。

脳で生じたゴミは脳脊髄液中に排泄され、アストロサイトを通じて静脈内に送られて腎臓や肝臓で処理されることがわかっています。認知症の脳内では、グリンパティックシステムが正常に機能せずにアミロイドβのような脳のゴミが蓄積し、記憶が失われていくのではないかといわれています。

脳における水の出入り口

グリンパティックシステムは、近年になって明らかにされた脳のゴミ処理システムです。しかし、この存在は以前より予見され、手術中に、時折、脳で生じたゴミの排泄ルートである脳脊髄液の流れ方に異変が起きることに気付いた医師がいます。この医師は、脳脊髄液の流れに異常が生じると記憶力・集中力の低下、頭痛、無気力、慢性疲労など様々な現象が起きることを発見し、さらに、外部からの手指刺激を用いた脳脊髄液の流動調整によって、これらの症状が治癒することを見出だしました。

この手法は頭蓋仙骨療法(とうがいせんこつりょうほう)と呼ばれ、まさにグリンパティックシステムの正常化を目指す手法と考えられます。グリンパティックシステムの研究には、脳における水の出入り口となる「アクアポリン4」というタンパク質の発見が重要な役割を果たしましたが、アクアポリン4の働きを証明するためには脳内の水の動きを生きたまま可視化する必要がありました。

当時は現在のような高度な顕微鏡技術がなかったため、世の中の人にグリンパティックシステムの存在を広く認知されるのは難しかったのかもしれませんが、頭蓋仙骨療法における脳脊髄液の流動システムの考え方は、まさしくグリンパティックシステムそのものです。

認知症対策と漢方薬アロマタッチ

私たちは、この手法をさらに進化させ、脳に働きかける漢方薬、大きなリラックス効果を生むメディカルアロマシャワー、温泉療法を頭蓋仙骨療法と融合し、様々な角度から脳を活性化させることを目指した「漢方薬アロマタッチ」を開発いたしました。漢方薬、メディカルアロマ、頭蓋仙骨療法、温泉療法をそれぞれ単独で用いるのではなく、全てを同時に行うことに私たちは大きな意義を見出しています。

漢方薬アロマタッチでは漢方薬を必要とするため、薬剤師の資格と医薬品の取り扱い許可が必要です。また、メディカルアロマシャワーの実践には美容師の資格と美容所の許可が必要です。私たちは、これら全ての資格と許可を所有し、みなさまに安心してご利用いただける環境を整えています。

漢方薬アロマタッチは、既成概念にとらわれず、何とか認知症のお悩みを解決する方法はないかと模索した結果、ようやく辿り着いた手法です。漢方薬アロマタッチが目指すのは快適な日常生活を取り戻すことです。認知症対策への可能性を秘めた手法のひとつとしてお考えいただければ幸いです。

このページは医薬関係者への情報提供を目的としています。