認知症予防に漢方薬アロマタッチ

認知症予防には、食事、運動、生活習慣、脳におけるゴミの蓄積など様々なものが関係し、どれも欠かせない要素です。病は「早期発見、早期治療が大切」といわれますが、予防ができれば、それに越したことはありません。ここでは、それぞれの特徴を精査し、認知症予防の可能性を探ります。

認知症予防と生活習慣病との関係性

認知症は、従来、生活習慣病の影響をあまり受けないと考えられてきました。ところが、最近の研究によって、これが大きく関わっていることが明らかになってきました。中でも、大きな影響を与えるといわれるのが高血圧と糖尿病です。このふたつの病気によって、認知症を発症するリスクは2倍になるといわれています。この観点からすると、認知症を予防するために、高血圧と糖尿病の治療は非常に重要な要素になると考えられます。

認知症の予防効果を高める高血圧の早期治療

生活習慣病の中でも、特に高血圧と糖尿病が高い確率で認知症を引き起こすといわれます。これはいったい、どういうことなのでしょうか?高血圧の人は、脳梗塞や脳出血を引き起こしやすいことが知られています。これは、長い年月にわたって高血圧が持続することによって、脳の動脈が硬くなって弾力を失い、切れたり詰まったりしやすくなるためです。脳の中でも精神面を司る前頭葉や頭頂葉などに脳卒中が起きると、認知症を発症します。高血圧を早めに治療することによって、脳卒中の発症リスクは劇的に減少し、認知症の予防効果も高くなるといわれます。特に後期高齢者で発症する認知症は、脳卒中による影響はさらに大きくなるため、高血圧の治療が認知症予防に直結すると考えられています。日頃からの塩分制限、肥満の改善、適度な運動をすることが大切です。

認知症の発症リスクを2倍にする糖尿病

糖尿病は、認知症の発症リスクを2倍にするといわれています。認知症は、脳内にアミロイドβが蓄積されるという特徴を持ちます。糖尿病では血糖値が上昇して高血糖状態が維持されますが、飽和状態になるのを防ぐために膵臓からインスリンが分泌されます。役目を終えたインスリンは酵素によって分解されますが、その酵素はアミロイドβを分解し、脳外へ排出するという働きも合わせ持ちます。糖尿病の人の体内では、インスリン分解酵素は増えすぎたインスリンを分解するのに精一杯で、アミロイドβの分解にまで手が回らず、結果としてアミロイドβが蓄積されていくのだといわれます。この考え方は、糖尿病患者が高い確率でアルツハイマー型認知症を発症する理由を示す有力な仮説として注目を集めています。そのため、認知症を予防するためには糖尿病の治療が大切で、これを治すためには食事療法、運動療法などが必要とされます。

運動による認知症予防

運動することも認知症予防に効果があるといわれます。認知症予防のための適度な運動は、乳酸値を超えない健康スポーツ(ストレッチやエアロビクスなど)で、運動中の酸素摂取水準は50~60%、心拍数は120/分までが目安です。ラジオ体操程度の運動量と考えればいいでしょう。認知症予防の運動は、楽しく、無理なく行い、継続することが大切です。オーバートレーニングはストレスを生じ、逆効果を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。ただし、介護予防のための運動としては、ある程度のパワーアップ(筋力増強トレーニング)も必要とされます。

食事による認知症予防

認知症の患者さんは魚の摂取量が少なく不飽和脂肪酸が不足しているという報告があり、不飽和脂肪酸に富む青魚の摂取が認知症予防に有効であるといわれます。また、アルツハイマー型認知症の人の脳内では、アミロイドβやタウタンパクが異常に蓄積され、神経細胞が壊れることが病気の発症に関与するといわれます。これらの物質が異常に蓄積される原因のひとつに老化が挙げられます。そのため、認知症を予防するためには老化速度を遅らせることも大切なことだといわれます。老化原因のひとつとして考えられているのが活性酸素です。酸素はエネルギーを作り出すためには必要な物質ですが、その過程で普通の酸素に比べて他の物質と反応しやすい活性酸素が発生します。活性酸素は、殺菌作用などを有し、体にとって必要な物質ではあるのですが、その反面、多すぎると遺伝子や血管を傷つけ、老化を促進してしまうともいわれます。そのため、余分な活性酸素を除去することは老化の予防に有効とされ、この働きをしてくれる緑黄色野菜を中心とした食事を摂ることが大切であると考えられています。そこで、老化を促進する活性酸素を多く含む食品の摂取を控え、抗酸化作用のあるビタミンE、C、カロチンやポリフェノールに富む食品の摂取が推奨されます。ビタミンEはゴマやナッツ類、カロチンはトマトやニンジン、ワカメなどに多く含まれています。また、小松菜やホウレン草にはビタミンE、C、カロチンがバランスよく含まれています。ポリフェノールは緑茶、そば、赤ワインなどに多く含まれています。この点から考えると、認知症予防には、秋刀魚、鰯、鯖、鰹などの青魚、小松菜、ホウレン草、ニンジン、トマトなどの緑黄色野菜、ゴマ、適量の赤ワイン、緑茶などを主体とした食事が理想的ということになります。

認知症予防に役立つコミュニケーション

本を読んだり、ものを書いたり、人と話したりすることが脳機能の活性化に有効とされています。ただし、他人から無理にやらされた課題を嫌々ながら実行しても効果はないといわれます。あくまでも本人が興味を持って楽しく行うことが大切です。読む、書く、話すといった行動によって人とのコミュニケーションを豊かにすることに意義があります。これは「余暇活動が認知症を予防する」という報告とも一致します。また、マウスによる実験では、豊かな環境で飼育したマウスでは、そうでない環境で飼育したマウスよりアミロイドβの沈着が少ないという報告もあります。

認知症予防には脳のゴミを捨てることが大切

成人の脳では、日々7gほどのタンパク質のゴミが作られ、適切な排泄が行われないと脳に蓄積し、健康を損なうといわれています。認知症の原因物質ではないかといわれるアミロイドβ(ベータ)も脳で生じるゴミの一種です。通常、これらのゴミはグリンパティックシステムと呼ばれる脳のクリーニングシステムによって処理されていますが、ここに何らかのトラブルが生じるとゴミは脳に蓄積されることになります。「脳に溜まったゴミをいかに捨てるか?」これが認知症予防のカギになると考えられます。

アミロイドβと認知症との関係

一般に、人間の体で生じたゴミは腎臓や肝臓で処理され、体外へ排泄されます。その過程では、体中に張り巡らされたリンパ系が様々な組織で生じたゴミを回収し、細い導管→太い導管→血管の順に流れ込み、ゴミを腎臓や肝臓へと運び込むのです。かつて、脳にはリンパ系のようなゴミを回収する仕組みは存在せず、脳で生じたゴミは全て脳内で処理されると考えられていました。しかし、近年の研究によって脳にもゴミを回収する仕組みが備わっていることが発見されました。この仕組みを「グリンパティックシステム」といいます。脳の血管は「血管周囲腔(けっかんしゅういくう)」に囲まれ、両者の間には脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体が流れています。血管周囲腔の外側は「アストロサイト」と呼ばれる支持細胞とつながっています。脳で生じたゴミは脳脊髄液中に排泄され、アストロサイトを通じて静脈内に送られて腎臓や肝臓で処理されることがわかっています。認知症の脳内では、グリンパティックシステムが正常に機能せずにアミロイドβという脳のゴミが蓄積し、記憶が失われていくのではないかといわれています。

グリンパティックシステムと頭蓋仙骨療法

グリンパティックシステムは、近年になって明らかにされた脳のゴミ処理システムです。しかし、この存在は以前より予見され、時折、脳で生じたゴミの排泄ルートである脳脊髄液の流れ方に異変が起きることに気付いた医師がいます。この医師は、脳脊髄液の流れに異常が生じると記憶力・集中力の低下、頭痛、無気力、慢性疲労など様々な現象が起きることを発見し、さらに、外部からの手指刺激を用いた脳脊髄液の流動調整によって、これらの症状が治癒することを見出だしました。この手法は頭蓋仙骨療法(とうがいせんこつりょうほう)と呼ばれ、まさにグリンパティックシステムの正常化を目指す手法と考えられます。グリンパティックシステムの研究には、脳における水の出入り口となる「アクアポリン4」というタンパク質の発見が重要な役割を果たしましたが、アクアポリン4の働きを証明するためには脳内の水の動きを生きたまま可視化する必要がありました。当時は現在のような高度な顕微鏡技術がなかったため、世の中の人にグリンパティックシステムの存在を広く認知されるのは難しかったのかもしれませんが、頭蓋仙骨療法における脳脊髄液の流動システムの考え方は、まさしくグリンパティックシステムそのものです。

漢方薬アロマタッチは認知症予防に有効か?

私たちは、この手法をさらに進化させ、脳に働きかける漢方薬、大きなリラックス効果を生むメディカルアロマシャワー、温泉療法を頭蓋仙骨療法と融合し、様々な角度から脳を活性化させることを目指した「漢方薬アロマタッチ」を開発いたしました。漢方薬、メディカルアロマ、頭蓋仙骨療法、温泉療法をそれぞれ単独で用いるのではなく、全てを同時に行うことに私たちは大きな意義を見出しています。漢方薬アロマタッチでは漢方薬を必要とするため、薬剤師の資格と医薬品の取り扱い許可が必要です。また、メディカルアロマシャワーの実践には美容師の資格と美容所の許可が必要です。私たちは、これら全ての資格と許可を所有し、みなさまに安心してご利用いただける環境を整えています。漢方薬アロマタッチは、既成概念にとらわれず、何とか認知症のお悩みを解決する方法はないかと模索した結果、ようやく辿り着いた手法です。漢方薬アロマタッチが目指すのは日常生活の快適化です。認知症予防のひとつとしてお考えいただければ幸いです。

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