認知症への対応と漢方薬アロマタッチによる対策

認知症の中で高い割合を示すのが、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症で、これらは3大認知症と呼ばれています。ここでは、それぞれの認知症の特徴を確認し、認知症への対応と漢方薬アロマタッチによる対策を検討いたします。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、静かに発症し、症状もゆっくりと進みます。近時記憶障害で発症することが多く、その中でもエピソード記憶の障害が特に多いという特徴を持ちます。他の認知症に比べて、記憶障害が特に目立つ場合、数分前の出来事も忘れてしまうような場合は、アルツハイマー型認知症が強く疑われます。記憶障害の他にも、無関心、意欲の低下が初期の頃から見受けられ、趣味も減少し、社会生活の範囲も狭くなります。

認知症の進行に伴って、見当識障害や視空間認知障害、視覚構成障害が加わります。見当識障害は、通常、症状の進行とともに、時、場所、人物の順に障害されていくので、認知症の初期は、時刻や季節などを丁寧に尋ねることが大切です。アルツハイマー型認知症では、その場しのぎの取り繕いも多くみられます。初めから局所的な神経症状を生じることはあまりありません。物盗られ妄想は比較的早い時期から起こることがあるといわれます。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症の発症と進行は緩やかで、認知機能障害もアルツハイマー型認知症と似ています。ただ、認知機能の変動が激しいという特徴を持ちます。良好状態では、「本当に認知症なのだろうか?」と思うほど普通に振る舞っているのですが、悪い状態の時には、せん妄が激しくなります。鮮明で生々しい幻視(人、動物、虫など)と誤認妄想(夫を父と間違うなど)が特徴的です。

すでに亡くなっている家族が家の中にいると主張するなど、誤認妄想と幻視が一体となったような精神症状が生じます。自分の家なのに「ここは自分の家ではない」と言ったり、「ここにいる夫は偽物で、本当の夫は他にいる」と言ったりするカプグラ症候群がみられることもあります。パーキンソン症候が生じることもありますが、その発症のタイミングは、認知機能障害が出現する前のこともあれば出現後のこともあります。

寝言や睡眠時の体動(レム睡眠行動障害)が出現することことも多いといわれます。抗精神病薬を始めとする各種薬剤に過敏性があるので、薬物療法を行う際には、事前にアルツハイマー型認知症ではないことを確認しておくことが大切です。

血管性認知症

血管性認知症はアルツハイマー型認知症などの変性疾患による認知症とは違い、脳卒中の発作後に発症し、階段状に進行するのが特徴です。知らないうちに発症し、ゆっくりと症状が進行する変性疾患の進み方か、階段状に進行する血管性認知症の進み方なのかを観察することが大切です。ただし、脳卒中の発作との関連性がはっきりせずに、ゆっくりと症状が進む多発性小梗塞、ビンスワンガー病によるものもあることには注意が必要です。

血管性認知症は、もともと脳梗塞や脳出血の危険因子(高血圧症、糖尿病、高脂血症など)を持っていることが多いといわれます。症状は多彩ですが、視床梗塞など一部の症例を除いて記憶障害は比較的軽度のことが多いのも特徴のひとつです。幻覚や妄想が起きることはまれで、自発的な活動の低下や無関心が目立つようになります。

物盗られ妄想への対応

認知症の症状として物盗られ妄想が頻繁に現れます。財布を盗まれた、ドライバーセットを隠されたなどと訴えることが多くなります。実際には自分か財布やドライバーセットをどこかに置き忘れてしまったとしても、探しても見つからなければ誰かに盗まれた、隠されたと考えるようになります。

その背景には、他人に対する不信感が存在することもあり、特定の人物を犯人と考えることが多いようです。この場合の対応のひとつとして、しっかりと状況を聞くことが大切です。順を追って本人に経緯を説明してもらうと、大抵の場合、どこかに矛盾点が見つかります。そこで、矛盾点に関して一緒に考えるという対応をすることによって納得に至る場合があります。

暴言への対応

認知症では、不安や混乱、感情の乱れ、体調不良などから、暴言の症状が現れることがあります。認知症の脳は、冷静な思考や行動を司る前頭葉という部分が委縮していることが多く、恐怖、不安、怒りで興奮しやすくなります。この場合の対応としては、患者さんと距離を置くことが大切だといわれます。一定の距離を置き、患者さんの怒りが治まるまで待ち、落ち着いた状態で接するのがお互いに傷つかない対応方法です。

認知症と脳のゴミとの深い関わり

成人の脳では、1日に約7gのタンパク質のゴミが作られています。このゴミは、適切に排泄されないと脳に蓄積し、健康を損なう可能性が高いといわれています。認知症の原因物質として疑われるアミロイドβも脳で生じるゴミの一種です。通常、これらのゴミはグリンパティックシステムと呼ばれる脳のクリーニングシステムによって処理されていますが、ここに何らかのトラブルが生じるとゴミは脳に蓄積されることになります。最新の研究では脳のゴミの蓄積が認知症と深い関わりを持つといわれています。脳のゴミを適切に排泄することは、有効な認知症対策と考えられます。

脳のゴミはアストロサイトを通じて捨てられる

一般に、人間の体で生じたゴミは腎臓や肝臓で処理されて体外へ排泄されます。その過程で、体中に張り巡らされたリンパ系が様々な組織で生じたゴミを回収し、細い導管→太い導管→血管の順に流れ込み、ゴミを腎臓や肝臓へと運び込みます。かつて、脳にはリンパ系のようなゴミを回収する仕組みは存在せず、脳で生じたゴミは全て脳内で処理されると考えられていました。

しかし、近年の研究によって脳にもゴミを回収する仕組みが備わっていることがわかりました。この仕組みを「グリンパティックシステム」といいます。脳の血管は「血管周囲腔(けっかんしゅういくう)」に囲まれています。両者の間には脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体が流れ、血管周囲腔の外側は「アストロサイト」と呼ばれる支持細胞とつながっています。

脳における水の出入り口「アクアポリン4」

グリンパティックシステムは、近年になって明らかにされた脳のゴミ処理システムです。しかし、この存在は以前より予見され、手術中に、時折、脳で生じたゴミの排泄ルートである脳脊髄液の流れ方に異変が起きることに気付いた医師がいます。

この医師は、脳脊髄液の流れに異常が生じると記憶力・集中力の低下、頭痛、無気力、慢性疲労など様々な現象が起きることを発見し、さらに、外部からの手指刺激を用いた脳脊髄液の流動調整によって、これらの症状が治癒することを見出だしました。この手法は頭蓋仙骨療法(とうがいせんこつりょうほう)と呼ばれ、まさにグリンパティックシステムの正常化を目指す手法と考えられます。

グリンパティックシステムの研究には、脳における水の出入り口となる「アクアポリン4」というタンパク質の発見が重要な役割を果たしましたが、アクアポリン4の働きを証明するためには脳内の水の動きを生きたまま可視化する必要がありました。当時は現在のような高度な顕微鏡技術がなかったため、世の中の人にグリンパティックシステムの存在を広く認知されるのは難しかったのかもしれませんが、頭蓋仙骨療法における脳脊髄液の流動システムの考え方は、まさしくグリンパティックシステムそのものです。

妄想・暴言への対応と漢方薬アロマタッチ

私たちは、この手法をさらに進化させ、脳に働きかける漢方薬、大きなリラックス効果を生むメディカルアロマシャワー、温泉療法を頭蓋仙骨療法と融合し、様々な角度から脳を活性化させることを目指した「漢方薬アロマタッチ」を開発いたしました。

漢方薬、メディカルアロマ、頭蓋仙骨療法、温泉療法をそれぞれ単独で用いるのではなく、全てを同時に行うことに私たちは大きな意義を見出しています。漢方薬アロマタッチでは漢方薬を必要とするため、薬剤師の資格と医薬品の取り扱い許可が必要です。また、メディカルアロマシャワーの実践には美容師の資格と美容所の許可が必要です。私たちは、これら全ての資格と許可を所有し、みなさまに安心してご利用いただける環境を整えています。

漢方薬アロマタッチは、既成概念にとらわれず、何とか認知症のお悩みを解決する方法はないかと模索した結果、ようやく辿り着いた手法です。漢方薬アロマタッチが目指すのは快適な日常生活を取り戻すことです。気持ちが穏やかになることによって妄想や暴言が減少し、認知症への対応が楽になる可能性を秘めた手法のひとつとしてお考えいただければ幸いです。

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