アルツハイマー型認知症の原因と食事 | 物忘れに漢方薬アロマタッチ

健康を維持するための最も重要な要素のひとつとして挙げられるのが、食事から摂取する栄養です。実際、ガン(特に肺ガン・大腸ガン・乳ガン)や心臓血管病、脳血管障害、アレルギー性疾患など多くの生活習慣病の発症には原因のひとつとして食事が大きく関与していることが明らかになってきています。アルツハイマー型認知症に関しても食事との因果関係を示唆する知見が増加しつつあります。ここでは、アルツハイマー型認知症患者と健常者の食事を比較・解析することによって、アルツハイマー型認知症が発症する原因にも食事が大きな影響を与えることがわかったとする研究と、物忘れの予防・治療に大きな効果が期待される漢方薬アロマタッチによる回復例をご紹介いたします。

Contents

高齢者の認知機能障害の原因となる栄養素の特徴

これまでに報告されている高齢者の認知機能障害に関係する栄養素のバランスを見て気が付くことは、認知症患者は共通して、ビタミンB群(特にB2・B6・B12)、葉酸、ビタミンC・ビタミンE・β-カロチンなどの抗酸化物、亜鉛・鉄などのミネラルの摂取が不足し、動物性脂質を過剰に摂取していることです。脂質に関しては、魚不足が原因となるω-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)の欠乏も大きな要素と考えられます。

アルツハイマー型認知症の原因と食事との関係を示す海外データ

ここで、アルツハイマー型認知症と食事との因果関係を調べた前向き調査をご紹介いたします。前向き調査とは、物事の因果関係を検討するための疫学調査法のひとつで、現時点での原因への曝露の有無・程度別にいくつかの集団を設定し、将来にわたって追跡調査をして結果の発生状況を比較するものです。例えば、喫煙群と非喫煙群について数10年後の肺ガン発生率を比較するような調査のことです。ロッテルダムで行われたこの調査は、あらかじめ認知症を発症していないことを確認した55歳以上の住民5,386人を平均2.1年間追跡し、食事が認知症発症の原因となりうるかどうかを確かめるために、これらの因果関係を追跡したものです。この結果、血管性因子を伴うアルツハイマー型認知症に対しては、総脂質(85.5g/d以上)と飽和脂肪酸を過剰摂取(34.0g/d以上)する食事が危険因子となることがわかりました。一方、血管性因子を伴わない純粋なアルツハイマー型認知症に対しては、これらの脂質を過剰摂取する食事が原因になるとは考えられず、魚を多く摂取した方がアルツハイマー型認知症の発症率が低かったという結果が得られました。また、野菜と果物の摂取不足の食事がアルツハイマー型認知症を発症させる原因になりうるという報告もあり、抗酸化物の摂取不足の食事との関連も示唆されています。(WorldAlzheimerCongress2000)。

日本人アルツハイマー型認知症の原因と食事との関係

日本人アルツハイマー型認知症64例(平均年齢72.3±8.6歳、男性32例・女性32例)・健常者80例(平均年齢77.0±8.7歳、男性37・女性43例)を対象とした「日本人アルツハイマー型認知症の原因と食事との関係」を調査した研究があります。男女差の検討には、全健常者のうちアルツハイマー型認知症の年齢と性の合致した49例(平均年齢70.6±6.5歳、男性23例・女性26例)を選びました。

「日本人アルツハイマー型認知症の原因と食事との関係」の調査方法

アルツハイマー型認知症の原因と食事との関係調査には、自記式食事歴法調査(DHQ)を用いました。自記式食事歴法調査は、過去1ヵ月間の食品摂取頻度を記載する半定量的方法です。簡便ながらも食事の実態をよく反映し、特に脂質の解析に適していることが明らかにされています。食品中に含まれる各栄養素の含量と頻度とを掛け合わせることによって1日の食事における栄養素の総摂取量を求め、これをグループ間で比較しました。また、各栄養素の摂取バランスを求めるため、各栄養素を摂取エネルギー1,000kcalあたりの標準化も行いました。さらに、一日の必要エネルギーを身長・体重・活動量より求め、実際に摂取したエネルギー量との比較も行いました。

「日本人アルツハイマー型認知症の原因と食事との関係」の調査結果

調査の結果、アルツハイマー型認知症病患者の食事に対する異常行動、原因となる食事の特徴、男性患者と女性患者の食事による原因の違いなどが見えてきました。

アルツハイマー型認知症病患者の食事に対する異常行動

アルツハイマー型認知症患者のうち、実に74%もの患者が食事に対する様々な異常行動を示しました。特に多いのが偏食と小食で、魚と緑黄色野菜を摂らずに肉や甘い物ばかりを摂る食事が目立ちました。男性患者では過去の多量な飲酒や極端な過食という食事の遍歴もありました。また、女性患者では極端な小食が目立ちました。これらの食事に対する異常行動とアルツハイマー型認知症の原因を探るために食事遍歴を尋ねると、ほとんどの人に若い頃からの食事に対する異常行動が見つかりました。なかには、13歳から食事に対する異常行動が始まっているケースもありました。このような食事に対する異常行動の継続期間を集計すると、最短で3ヵ月間、長い人では60年間にもなりました。食事に対する異常行動を起こすようになった原因は男女で事情が異なります。男性の場合は単身赴任が原因となるケースが多く、女性の場合は日中の簡易な食事や配偶者の影響が原因となるケースが目立ちました。また、長期の海外生活、高頻度の外食、お嫁さんへの炊事の依存などが原因になった例もありました。例えば56歳男性。アルツハイマー型認知症のリスク遺伝子であるアポEはε4/ε3で、53歳時より記銘力の低下に妻が気づき、その後、徐々に症状が進行しました。病院受診時のMMSE結果は20点。子どもの頃から食事の好き嫌いが激しく、学生時代も外食が中心で脂肪分の多い食事を好んでいたといいます。さらに、2年間の単身赴任が原因となって多量の飲酒習慣が始まりました。ほぼ毎日、肉ばかりの食事になり、ときには飲酒後にロールケーキを2本丸ごと食べてしまうような異常な食事を続けていました。単身赴任から戻ってきた後に妻が記銘力障害に気づき、病院に連れて行きました。そこで長年にわたる偏食を直すための食事指導を受け、これを着実に実行することによって良好な経過を辿りました。

アルツハイマー型認知症の原因となる食事の特徴

アルツハイマー型認知症患者の食事を調査すると、食品では、魚、緑黄色野菜、海藻、キノコの摂取が有意に少なく、栄養素では、カロチン、ビタミンC、ビタミンB群、カルシウムや鉄などのミネラルの摂取が有意に少ないという結果が出ました。脂質では予想に反してコレステロールや飽和脂肪酸の摂取量は健常者との差がありませんでした。有意に差が出たのは多価不飽和脂肪酸の摂取バランスです。もしかすると、ここに原因があるのかもしれません。アルツハイマー型認知症患者では、魚嫌いの食事が原因となってω-3多価不飽和脂肪酸の摂取量が低くなり、肉に多く含まれるω-6多価不飽和脂肪酸との摂取比(ω-6/ω-3比)が健常者より有意に高いことがわかりました(p<0.0001)。ただし、ω-6多価不飽和脂肪酸の摂取量はアルツハイマー型認知症と健常者との間に差はないため、この結果は魚の摂取量が少ない食事が原因と考えられます。

男性患者と女性患者の食事における原因の違い

アルツハイマー型認知症患者では、男女間で食事の質と量において原因が大きく異なるため、男女を分けて解析してみました。

1) 食事の質と男女の差

男性アルツハイマー型認知症患者の総摂取エネルギーは健常者より有意に高く(P=0.004)、必要エネルギーより約30%も多く摂取していました。三大栄養素では炭水化物と脂質の摂取が多く、さらに炭水化物の中では穀類と砂糖類を多量摂取しています。これに対して女性アルツハイマー型認知症患者では、摂取エネルギーが少ないことが原因となって、脂質、タンパク質ともに健常者より少ないという結果になりました。すなわち、男性アルツハイマー型認知症患者はエネルギーを過剰に摂取する食事をし、女性アルツハイマー型認知症患者は多くの栄養素が不足気味の食事をしていることになります。

2) アルツハイマー型認知症と肉・魚の食事との関係

1日の摂取食品を総量で比較すると、男性アルツハイマー型認知症患者では肉の摂取量が多い食事が目立ち、肉/魚の比率が1.0±0.8と健常者の0.4±0.3より有意に高い(p=0.001)食事をしているということがわかります。緑黄色野菜の摂取量に関しては健常者との間に差はありませんでしたが、海藻の摂取量は低値を示しています。このような数値となる原因は、相対的に海産物の少ない食事にあると考えられます。女性アルツハイマー型認知症患者でも魚の摂取が有意に少ないことが原因となって(P=0.002)、肉/魚の摂取比率が0.6±0.5と健常者の0.4±0.4より高いという結果が出ました。魚以外にも緑黄色野菜、海藻類の絶対的な摂取量が少ない食事のため、カルシウム・リン・鉄・カリウム・ビタミンB2・ナイアシンなどの栄養素が全般的に不足しています。

3) 脂質バランスが原因?アルツハイマー型認知症になりやすい食事

摂取している脂肪の量を比較してみると、男性アルツハイマー型認知症患者では、コレステロール・飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸(MUFA)・多価不飽和脂肪酸(PUFA)のすべてで健常者より多い傾向にありましたが、いずれも有意差ではありませんでした。多価不飽和脂肪酸ではω-6/ω-3比が有意に高かったのですが(P=0.001)、これはω-6多価不飽和脂肪酸の摂取が有意に高い(P<0.001)ことが原因と考えられます。肉の多い食事が原因となって数値に表れています。これに対して女性アルツハイマー型認知症患者では、コレステロール、飽和脂肪酸の摂取が健常者よりも極めて少ないという結果が出ました。多価不飽和脂肪酸ではやはりω-6/ω-3比が健常者より有意に高い(p=0.024)という結果が出ましたが、女性の場合にはω-3多価不飽和脂肪酸の少ない食事に原因があると考えられます。この原因は魚の少ない食事によるものです。以上のことから、アルツハイマー型認知症患者では男女ともにω-6/ω-3の摂取比が高いことがわかりますが、男性ではω-6多価不飽和脂肪酸の摂取過剰、女性患者はω-3多価不飽和脂肪酸の摂取不足という原因の違いが認められます。すなわち、男性は肉の多い食事が原因となり、女性は肉も不足していますが、それ以上に魚の少ない食事が原因となるということができます。

4) アルツハイマー型認知症の発症年齢は遺伝よりも食事が優先

ω-6/ω-3比とアルツハイマー型認知症の発症年齢との関係を見てみると、ε4遺伝子の保有例ではω-6/ω-3比が低下するにつれて発症年齢が遅くなることがわかりました。発症年齢の最も大きな差は約20年です。また、ε4遺伝子の保有者でアルツハイマー型認知症を発症していない人は、ω-6/ω-3比が低いだけでなく、緑黄色野菜の摂取量も十分に確保した食事をしています。この結果は、遺伝的素因があっても魚や野菜の多い食事をすれば発症を遅らせることができ、そもそも発症しない可能性があることを示唆しています。

EPAが豊富な食事の摂取によってアルツハイマー型認知症の本質的な原因解決に至るのか?

以上の結果より、アルツハイマー型認知症の原因として考えられる食事栄養素の中でも特に重要となるのが多価不飽和脂肪酸の摂取バランスで、ω-6/ω-3比が高いことが病気を進行させる上で重要な意味を持つと推測されます。この結果をもとに、ω-3多価不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)を投与し、血清のω-6/ω-3比を下げることがアルツハイマー型認知症の進行抑制、あるいは認知機能改善につながるのではないかと考え、1日あたり900mgのEPAを12ヵ月間投与して効果を判定しました。認知機能の効果判定はMMSE(MiniMentalStateExamination)で行い、EPA投与開始時点からの得点の変動についてt検定を行いました。アルツハイマー型認知症患者のMMSEの平均得点はEPAの投与開始後2~3ヵ月目には上昇を示しましたが、患者によって効果の差が大きく、開始時と3ヵ月目を比べた結果、改善したものが37例、不変が5例、悪化したものが27例でした。また、MMSEの得点が8点上昇した例や21ヵ月間3点上昇し続けた例もありましたが、全体として長期作用は見られませんでした。平均でみると、投与後約6ヵ月目までは開始時点の点数を維持しましたが、6ヵ月目以後は得点が低下し続け、自然経過とほぼ平行に推移しました。この結果から、EPAがアルツハイマー型認知症の原因を本質的に解決する食事栄養素であることを示すことはできませんでした。

高ホモシステイン血症は日本人アルツハイマー型認知症の原因となりうるか?

近頃、動脈硬化症の原因となりうる高ホモシステイン血症が、アルツハイマー型認知症に対しても原因になる可能性があるのではないかといわれ始めました。高ホモシステイン血症はビタミンB6、B12、葉酸の少ない食事が原因となって発症するといわれていますが、今回の調査で、アルツハイマー型認知症患者でもビタミンB群の摂取不足を認めたため、日本人アルツハイマー型認知症患者における高ホモシステイン血症の実態調査を行いました。アルツハイマー型認知症患者のうち血清ホモシステイン値が14nmol/ml以上の高ホモシステイン血症の頻度は15.5%で健常者の2.5%よりも高い数値を示し、確かに高ホモシステイン血症はアルツハイマー型認知症の原因になりうる危険因子のひとつであることが示されました。しかし、血清ホモシステイン値とビタミンとの関係では、血清ビタミンB6とは逆相関(r=-0.485、p=0.004)関係を示したものの、ビタミンB12、葉酸との相関関係は示せませんでした。また、血清ビタミンB6と葉酸は食事中のビタミンB6と葉酸に極めてよく相関しましたが、ビタミンB12に関してはこのような相関はありませんでした。さらに、欧米に比べて日本での高ホモシステイン血症の頻度があまり高くないことを考慮すると、高ホモシステイン血症が日本人アルツハイマー型認知症の有力な原因と考えるのは難しいように思えます。

アルツハイマー型認知症の進行を促す原因となる食事における4つの特徴

今回の調査で明らかになったアルツハイマー型認知症患者の原因となりうる食事の特徴は、高齢者の認知機能障害と関係する食事栄養素と極めて類似していました。すなわち、第1の原因はビタミンC、ビタミンE、β-カロチンなどの抗酸化物の欠乏、第2の原因はビタミンB群(特にB2・B6・B12)および葉酸の欠乏、第3の原因は亜鉛や鉄などミネラルの欠乏、第4の原因は脂肪酸の摂取バランスの異常です。このようなバランスを欠いた食事は、アルツハイマー型認知症の進行を推進・増悪させる原因因子として考えられているフリーラジカル・慢性炎症・動脈硬化という血管因子に悪影響を及ぼしている可能性が考えられます。

アルツハイマー型認知症の食事における原因と男女差との関係

アルツハイマー型認知症の原因となりうる食事に関して、今回の調査でわかった中でも注目すべき点は男女による大きな違いです。まず、男性アルツハイマー型認知症患者では食事の摂取エネルギーが極めて多いという点です。過剰なエネルギーの摂取はフリーラジカルを産生し、海馬の変性を進行させるという動物実験に一致する、実に興味深い結果です。さらに、男性アルツハイマー型認知症患者では、ω-6多価不飽和脂肪酸の過剰摂取に加え、コレステロールや飽和脂肪酸も多い食事をとる傾向にあるため、動脈硬化の原因となる危険因子も加わっていると考えられます。一方、女性アルツハイマー型認知症患者では、絶対的な食事の摂取量が少ない例が目立ちました。緑黄色野菜や海藻の摂取不足が原因となり、カルシウム、リン、鉄、カリウム、ビタミンB2、ナイアシンなど全般的な栄養不足を認めました。アルツハイマー型認知症の有病率は女性の方が男性より2~2.5倍高いとの報告がありますが、この有病率の性差に対して男女間の食事差が原因となりうるかどうかが今後の検討課題のひとつです。

魚の摂取量が少ない食事がアルツハイマー型認知症の原因となる?!

今回の食事に関する調査結果で最も特徴的だったのは、アルツハイマー型認知症患者で男女とも多価不飽和脂肪酸のω-6/ω-3比が高かった点です。ω-6多価不飽和脂肪酸とω-3多価不飽和脂肪酸は、それぞれ必須脂肪酸であるリノール酸とα-リノレン酸を出発物質として体内で合成され、リノール酸からはアラキドン酸が、α-リノレン酸からはEPAとDHAが合成されます。ω-6多価不飽和脂肪酸とω-3多価不飽和脂肪酸は、互いに競合・阻害しあう関係にあり、アラキドン酸から作られる物質は炎症反応や血液凝固を引き起こす原因となりますが、EPAやDHAから作られる物質はこれらに対して拮抗的に作用します。したがって、ω-6多価不飽和脂肪酸とω-3多価不飽和脂肪酸の絶対的な摂取量よりも摂取比率の方が重要になってきます。今回の食事調査でも、実際に摂取しているω-6多価不飽和脂肪酸やω-3多価不飽和脂肪酸の絶対量は症例ごとに変動が大きかったのですが、ω-6/ω-3比で見てみるとアルツハイマー型認知症患者と健常者との間に有意な差が示されました。ただし、女性患者ではω-3多価不飽和脂肪酸の絶対量の不足も原因として考えられます。人体の細胞膜のω-6/ω-3比は臓器によって大きく異なります。脳、網膜、精子ではω-6/ω-3比が0.3~0.11であるのに対し、心、腎、肝、筋などの全身臓器の比は5.0程度です。すなわち、脳は他の臓器に比べてω-3多価不飽和脂肪酸を多く必要としているのです。このことから、男女ともにω-6/ω-3比が高いといっても絶対量が不足している女性患者の脳が受ける障害の方がより深刻であると考えられます。日本では、食事の欧米化にともなって、大腸ガンを始めとする欧米型のガン、クローン病や潰瘍性大腸炎などの消化器系炎症疾患、心血管疾患、アレルギー性疾患などが急増しています。これらはω-6多価不飽和脂肪酸の過剰摂取型の食事にも原因があるのではないかと考えられています。また、最近、うつ病などの精神機能と脂肪酸摂取バランスとの関連も注目されてきています。うつ病でも魚の摂取量が少ない食事が原因となり、うつの度合いが強いほど赤血球膜のω-6/ω-3比が高くなることが報告されています。

アルツハイマー型認知症患者に対するEPAの効果が限定的となった原因

アルツハイマー型認知症患者に対するEPAの効果が限定的だったのは次の4つの点に原因があると考えられます。第1の原因は、アルツハイマー型認知症と血管因子の関与や炎症反応の関与は認められていますが、これらは二次的なものにすぎないとする考えです。この考えにしたがえば、EPAによる抗炎症作用、動脈硬化抑制作用、抗血小板作用などは期待できても、アミロイドβタンパクの凝集、タウタンパクの凝集の本質を抑制することはないため、その効果には限界があると考えられます。第2の原因は投与量の問題です。今回用いたEPAの投与量は1日あたり900mgです。うつ病に対してω-3多価不飽和脂肪酸の投与によって良好な成績が得られていますが、この場合にはEPAとDHAの総量が1日あたり9.6gという高用量が投与されました。また、クローン病に対してEPAを1日あたり2.7g投与することによって、有意に再燃防止効果を示したとの報告もあります。これらと比較して、今回投与したEPAの量は少なすぎたのではないかという疑問が残るのです。第3の原因は、女性患者では長年にわたるω-3多価不飽和脂肪酸不足の食事が背景にあり、すでに不可逆的な変化が脳に起こっており、多少のEPAを補っても意味がないのではないかという可能性です。第4の原因は、アルツハイマー型認知症患者ではω-3多価不飽和脂肪酸に限らず、他に多くの栄養素が不足している食事をしているという点です。したがって、ω-3多価不飽和脂肪酸だけを投与しても効果が限定的であるとも考えられるのです。

食事だけではアルツハイマー型認知症の回復は困難

長年にわたる偏った食事の習慣は高齢者の認知機能に影響を与えるだけでなく、アルツハイマー型認知症の発症にも関連している可能性があります。特に魚と緑黄色野菜を中心とし、偏食や極端な小食を避けたバランスの良い食事を若い頃から心がけることが大切です。ただし、食事は認知症の一次予防としては極めて大切な要素ですが、認知症が発症してしまった後では食事だけで回復を望むのは非常に困難であるというのが現状です。

物忘れ予防・治療に漢方薬アロマタッチ

私たちは、漢方薬、メディカルアロマ、頭蓋仙骨療法を複合的に利用することによる物忘れ予防・治療に取り組んでいます。頭蓋仙骨療法というのは、脳を包み込んでいる脳脊髄液を外から優しく刺激することによって脳脊髄液の流れを整えるというものです。私たちが行うのは、この手法に「物忘れに効果的」と考えられるメディカルアロマを頭部浴という形で融合し、さらにアルツハイマー型認知症に有効といわれる漢方薬治療を同時に行う漢方薬アロマタッチという手法です。

物忘れの予防に漢方薬アロマタッチ

物忘れは、初期症状が出る前に予防することも大切なことだと私たちは考えます。最近では、物忘れには生活習慣が大きく関わっているといわれ、規則正しい食生活を送ることは物忘れの予防に有効であることが認められてきています。これに加えて、私たちは本格的な物忘れ予防の手法として、定期的な漢方薬アロマタッチの利用をおすすめいたします。仕事や日常生活における脳の疲れは、簡単に取り切れるものではありません。脳血流を改善する漢方薬、気持ちを落ち着かせる漢方薬など、その時々の体調に合わせた漢方薬をお選びし、リラックス効果の高いメディカルアロマを使用します。そして、脳脊髄液の流れを整えることを目標とする頭蓋仙骨療法を頭部浴という形で導入し、様々な角度から脳へのアプローチを行います。脳の疲れを取除くことは漢方薬アロマタッチを行う目標のひとつです。漢方薬アロマタッチが終わった後には「頭がスッキリして軽くなる」という感想をいただくことが非常に多くあります。この現象は、疲労していた脳に十分なエネルギーが与えられ、脳にゆとりが生まれたためだと考えられます。脳内には神経細胞の巨大なネットワークが形成され、膨大な量の情報のやり取りが行われています。この情報伝達がスムーズに行われないと物忘れにも大きな影響を及ぼします。このことから、脳にゆとりを与え、情報伝達のエラーを減らすことは、物忘れの予防に対して有効的に働くのではないかと考えられます。

物忘れが治る!?漢方薬アロマタッチ

漢方薬は、日本や中国での長年の経験に基づき、様々な治療効果を持つ生薬を組み合わせて病気を治療する薬です。同様に、メディカルアロマは西洋の長い歴史の中で培われてきた植物療法です。この経験に基づくふたつの手法と、脳脊髄液にアプローチする頭蓋仙骨療法を融合したのが漢方薬アロマタッチです。私たちは、この手法によって「物忘れが治る」という経験をしています。時間や場所への見当識が失われ、自分が今どこにいるのかもわからないという状態から回復した例もあります。その人は、片手が硬直し、自立歩行も不可能なケースで、初日は両脇から2人に支えられて来ました。顔の表情も乏しく、笑顔は一切ありません。この状態で漢方薬アロマタッチを3日間連続で行ったところ、自立歩行が可能になりました。その後、1週間に1度のペースで継続すると3ヶ月後には物忘れもなくなり、笑顔で日常会話ができるレベルにまで回復したのです。半年後には硬直していた腕を自由に動かすことも可能になり、さらにその半年後にはパソコンの打ち方を習得し、パソコンで手紙が書けるようにもなりました。

物忘れを自覚しない人への対処方法

また、治すのが難しい物忘れの症状として、本人が物忘れを自覚していないというケースもあります。どんなに家族が治療を希望しても本人はその必要性を全く感じないため、検査を受けることも拒み続けるというケースです。この場合は、治療のスタートを切ることも難しくなります。漢方薬アロマタッチを行うためには、薬剤師の資格や医薬品の取り扱い許可だけではなく、美容室の許可も必要となります。そのため、私たちは美容師免許を所持し、漢方薬アロマタッチとともにカット、ヘアカラー、パーマなども行っています。そこで、本人が物忘れを自覚していないときには、「今日は髪を切りに行きましょう」「今日は白髪を染めに行きましょう」と誘って連れてきた、というケースもありました。髪を切ったり、白髪を染めに来たりすることには抵抗がないようです。また、足が痛い時にはレッグアロマタッチという手法もあるため、これを上手に活かすという考え方も可能です。このように、物忘れ以外にも様々なアプローチを同時に行うことができるのも漢方薬アロマタッチの利点です。この他にも、同じ質問を何度も繰り返すという状態や日常生活レベルの計算ができなくなってしまった状態から、漢方薬アロマタッチを行うことによって日々回復していく姿を見るのも珍しくありません。

このページは医薬関係者への情報提供を目的としています。